【2015年2月21日】

任務は子づくり!? 後宮騎士団プロローグ公開

ブログさぼってスミマセン。

2月美少女文庫、発売されました!

山口陽『任務は子づくり!? 後宮騎士団』、自信作です。

応援、よろしくお願いいたします。

プロローグ エロバカ王子の更生計画

「あぁ……エスト様、お戯れを……ぁ」
夕陽の差しこむ黄昏時の寝室で、困惑混じりの艶かしい声が聞こえる。
スカート越しに、肉付きのよい臀部を撫でられている少女。
しかし戸惑いながらも、悲鳴を上げるどころか逃げ出す素振りもない。
「フフッ……綺麗な曲線じゃないか。まるで俺を誘っているような……」
「そ、そのようなつもりは……っ! 陛下がお呼びなので――んぅ!」
「知らん。今はこの尻を愛でるほうが大事だ」
彼女の言葉を躊躇なく拒否し、興奮と欲望に駆り立てられるままに、手に伝わってくる尻肉の丸みを味わおうと、指も蠢かせていく。
「そんな……い、いけませんっ!」
少女は首を左右に振って声を上げるが、相変わらず抵抗は弱い。
「少し撫でただけでこの反応……なかなかにいやらしい娘だ」
「ち、違っ……私は、そのようなぁ……ぁあっ」
必死に否定しているが、肩を小刻みに震わせている仕草が嗜虐心を誘う。
手をスカートの裾まで這わせると、摘んでゆっくりと持ち上げていく。
「本気で嫌がっているか、ちゃんと目で見て確かめないと――」
卑下た笑みを浮かべつつ、屈んで覗きこもうとした瞬間、バンッ! とけたたましい音を立てて部屋の扉が開け放たれた。
「いつまで待たせる気だ、バカ息子がぁああああ!!」
怒鳴りこんできたのは、生え際が後退しつつある頭皮とは対照的に長く立派な顎鬚を蓄えた初老の男性は、マルス・テスティス。
大陸の約三分の二を占める超大国、ティスターニア王国を統べる立場にある。
そのような人物が顔を真っ赤にして飛びこんできた途端、これまでされるがままだった少女が即座にスカートを押さえて背筋を正し、深々と頭を下げた。
「も、申し訳ございません!」
その表情は青ざめ、これまでとは比較にならないほど顕著に震えていた。
しかし、マルスはため息を漏らしたものの、彼女を咎めようとはしなかった。
「このバカが素直に応じるだろうと判断したワシのミスだ。もう下がりなさい」
「は、はい。失礼致します!」
彼女は恭しく一礼した後、顔を赤らめて小走りで部屋から出ていった。
「ちぇ、せっかくいいところだったのになぁ」
その一言に、国王陛下の額に青筋が浮かび上がる。
「バカモノ! ワシの呼び出しに応じず、侍女の尻を撫で回すとは何事だっ!」
「そりゃ、むさいオッサンなんかより、可愛い女の子の尻のほうがいいだろ?」
しかしエストは悪びれた様子もなく、さも当然のように言い放った。
「…………」
あまりにも堂々と言いきる息子に開いた口が塞がらなかった。
エスト・テスティスは、ティスターニア王国を統べるマルスの嫡男であり、王位継承権第一位を持つ。
その意味を理解していれば、父親でなくても頭を抱えたくもなるだろう。
「あの子だって、俺に満更でもない感じだったのになぁ」
だが本人はそんな空気をまるで気にする様子もない。
「侍女が王族に逆らえるかっ!? 権力を笠に着て女を従わせるなど、恥を知れ!」
今回の件だけではなく、気に入った異性を見れば所構わずセクハラに及ぶ。
エストの女好きは、身内だけでなく城内に出入りする貴族たちにも知れ渡っている。
男であれば、魅力的女性に不埒な感情を抱くことも珍しくないが、彼はそれをむしろ誇らしげに、堂々と公言するどころか実行に及んでいた。
「ちょっと待ってくれよ。俺は別に権力にかこつけて無理矢理迫ったことなんかないぞ? そりゃあ、尻や乳を触ることはあるが、最後の一線だけは越えてないぞ?」
それくらい挨拶代わりだと呆れ気味に父親の発言を否定する。
「だからなんだというのだ! 先日のパーティーでも給仕の尻を撫で回し、挨拶に訪れた諸侯の娘たちに対しては『安産型』だの『経験はあるのか?』だのとセクハラ三昧! どれだけ不興を買えば気が済む!? お前は謀反でも誘発させたいのか!?」
「んな大袈裟な……」
烈火の如く捲くし立てるマルスとは対照的に、エストは平然と受け流す。
「お前には再三王位継承権第一位としての自覚と品格を持てと――」
「落ち着いてください父上。そんな調子では、いつまでも本題に入れませんよ?」
「なんだ、いたのかソーマ。ならもっと早く止めてくれよぉ」
さらに続けようとするマルスを仲裁する少年はソーマ・テスティス。
王位継承権第二位を持ち、短髪で黒縁眼鏡が特徴で中性的、華奢な体躯をしており、エストとは対照的に秀才然とした雰囲気を漂わせている。
「兄上に原因があると自覚して下さい。父上も、これでは兄上の思う壺ですよ?」
奔放な兄を窘めつつ、父親も宥める。
「うぅ……ソーマは真面目に育ってくれたというのに」
大きくため息を漏らしながら、あからさまに不満そうに視線を向けるマルス。
だがこの程度のやり取りは日常茶飯事で、エストにとっては挨拶のようなものだ。
「んで? ソーマが言った本題ってのは? オヤジだってあまり暇じゃないだろ?」
「問題ない。本日の公務はすべて片付けてある」
「おぉ、さすがは国王陛下。物事をちゃんと把握しておいでで」
「そもそも、お前がもっとしっかりしておれば――」
「父上。また話が逸れていますよ? 兄上も、少しは自重してください」
「善処してやるよ」
エストは素直に頷いてみせるが、あくまで善処するだけである。
「兄上……」
ソーマはため息を漏らしながらも、それ以上はなにも言わなかった。
マルスはまだ言い足りない様子だが、このままでは埒が明かないのも理解していた。
「まったく……まあいい。とにかくお前にとって重要な話だ」
「俺に、重要な話?」
「ソーマにはすでに伝えてあるが、ワシは公務でしばらく城を離れることになった」
国王陛下が自ら出向く必要のある公務に心当たりはないが、もとより政治に関心のないエストが行事をすべて把握しているはずもない。
だからといって、国王が不在でも政を滞らせるわけにはいかない。
「つまりオヤジがいない間、俺に代理をしろってことか?」
本人にその気はなくとも、エストは王位継承権第一位という立場がある。
「いや、今のお前に国を任せる勇気は、ワシにはない」
「は?」
「それはお前よりも国政に精通しているソーマに任せる」
本来であれば、継承権第一位のエストを差し置いて、二位のソーマが政に加わるなどありえないが、色欲かまけている兄よりもこの弟のほうが優れているのは事実。
いっそのこと、このまま王位継承権の序列を入れ替えてしまえばいいとさえ思う。
「じゃあソーマが全部やってくれるから、俺はいつも通りでいいってことか?」
「なぜそう平然と言えるのか……少しは不出来な兄として悔しいとは思わんのか」
「いや、全然」
即答するエストに、再びマルスの眉が攣りあがる。
「……そう言うと思ったわい。だからお前には特別なモノを用意した」
「なんかくれるのか?」
「お前には王位継承権第一位としての自覚が足らん! まずはその腐った根性を叩き直すことにした!」
そう言ってマルスが手を叩くと、突然全身を甲冑で覆った騎士が二人現れた。
「な、なんだなんだぁ!?」
さすがに予想だにしていなかった事態に、エストは目を丸くする。
「お前には今日から我が国が誇るヴィクトリア騎士団の兵舎に移ってもらう」
「意味がわからないんだが?」
「口で言ってもわからん以上、身体に教えこむしかあるまい?」
つまらない政は優秀な弟が肩代わりしてくれると、自分は楽ができると思った矢先、さらに輪をかけて面倒な事態に発展してしまった。
だからといって、それを素直に受け入れられるほどエストは従順ではない。
「従わないなら体罰だなんて、ナンセンスだぜ?」
わざとらしく呆れてみせるも、今度のマルスは取り乱しはしなかった。
「なにを言っとるのだお前は……ワシは騎士たちの訓練に参加し、厳しい規律の中で揉まれてこいと言ったのだ」
「うへぇ……俺は揉まれるより揉むほうが好きなんだけどなぁ」
「うるさい。これは決定事項だ」
エストの軽口をまるで意に介さないのは、それだけ本気ということだ。
「マジかよ……って、いやいや俺が連中におとなしく従うとでも?」
そんな悪あがきの一言に、マルスがニヤリと笑みを浮かべる。
「問題ない。ヴィクトリア騎士団を率いておるのはアイリスだ……忘れたか?」
「げぇ!?」
失念していた事実に、もはや万策尽きたと言葉が出てこない。
「フッ……そういうわけですので、アイリス姉さんによろしくお伝え下さい、兄上」
狼狽するエストに、同情とも嘲笑とも取れるように呟くソーマの瞳は、余計な手間を掛けさせたためか、ほんの一瞬ではあるが冷たいものを感じた気がした。
「お前たち……」
マルスが命じると、エストは二人の騎士によって左右から抱え上げられた。
「ちょ!? 待てよっ……俺はまだやるなんて一言も――」
「連れていけ」
国王と王子のどちらを優先させるかなど明白。
「くそっ……! 絶対に思い通りなって堪るかぁあっ!!」
屈強な騎士たちはビクともせず、エストが叫び声だけが虚しく廊下に反響した。

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