【2017年5月2日】

GWプレゼント 戦国犬姫!番外編公開です

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戦国犬姫!番外編
潮湯治に行こう

 
佐治信政には、織田犬という最愛の女性がいる。
幼なじみであり、夫婦であり、そして運命共同体である存在。
犬耳状の癖っ毛と、首に巻いている特注品の首輪がトレードマークな絶世の美少女だ。仕事中を除いて、一日のほとんどを共に過ごしている女性でもある。
そんな彼女と、信政は海岸までやって来ていた。
ここは、佐治家の一族専用の潮湯治場……つまるところ、プライベートビーチである。
現在は六月一九日。そろそろ夏も本格化してくる……そんな時分だ。
太陽はすでに空高く上がり、その光を燦々と大地に降り注いでいる。
「信政様……もぅ、こんな格好をさせて……他の方に見られてしまったらどうするのですか?」
以前に似たようなことを、しかもこの潮湯治場で言われた気がする……。
そんなことを思いながら、信政は妻の方を向いた。
「だが、お前も嫌ではないのだろう? 少なくとも、その格好をしているという以上は」
「それは、そうですけれど……」
犬姫は言葉を濁しながら、もじもじしている。
彼女は胸にさらしを、腰に腰巻を巻いていた。頭には麦わら帽子をかぶっており、健康的な色気を放っている。
「ですが、やはり布地が少ない着衣には慣れません……」
お姫様は恥ずかしそうに笑う。
そんな彼女を抱きしめて、優しく背中を撫でると……犬姫は安らぎの声を漏らした。
「そもそも、信政様以外の方に……わたしは、肌を見せたくなんてありませんし」
「……そっか」
信政は犬姫の腰の両サイドに左右の手を置きながら、彼女の瞳を見つめる。
するとお姫様はうっとりと目を細め、そっと唇を差し出してきた。
犬姫の両腕が信政の首に絡みつき、情熱的に口付けを求めてくる。
しかしそれは、あくまでも唇を重ね合うだけのものでしかない。
今日の潮湯治では、絶対に「そういうこと」をしないようにしようと、あらかじめ打ち合わせてきたからだ。
「わんこ……お前のその格好、よく似合っているな」
「そっ、そう……ですか?」
少女は恥じらい照れながら、夫からの称賛の言葉を受け取った。
ちなみに、信政は褌一丁である。
「それじゃあ、海に入ってみようか」
「うふふっ……わかりました」
犬姫が信政の左腕に腕を絡め、ぴとりとその豊満な肢体を押しつけた。
そして、ふたりでゆっくりと、浜辺の砂を一歩一歩踏み締めるようにして歩く。
ザザァン、ザザァンと押し寄せてきた波がふたりの足首を襲った。
「きゃあっ、きゃはっ」
犬姫がとても楽しそうな表情で、黄色い声を上げる。
完璧なまでに美しい造形をした両足が、ぱちゃぱちゃと小さな水飛沫を上げた。
「やだ、冷たいっ」
「慣れるさ、すぐに」
波打ち際で犬姫が歩を止めたことで、信政もそれに合わせて立ち止まる。
波が押し寄せてくる度に、犬姫は波にできるだけ足を接触させないようにと動く。
その都度、犬姫の楽しそうな声と共に……バシャバシャと水飛沫が上がり、弾けた。
「でも、やっぱり冷たいですね……とても心地よいですけれど」
「そうか……なら、手っ取り早く海水の温度に慣れるとするか」
「ひゃうんっ」
信政は犬姫をお姫様抱っこすると、そのままゆっくりと腰を下ろす。
「きゃあっ、冷たいっ」
身体に波を受けて、黄色い声を上げてはしゃぐ犬姫に訊いた。
「だが、こうして肌を重ねていたら……だいぶ、温かいだろう?」
「はい、それはもう……間違いのないことですが……」
犬姫は一旦身を離すと、改めて抱きついてくる。
「んっ……こちらのほうが……体温を伝え合うには一番なのではないですか……?」
その体勢は、まるで対面座位のよう。
だがしかし、例によって、犬姫はいやらしいことなど特に何も考えていないのだろう。
「ああ、違いない」
犬姫の両腕が信政の肩に回され、両足が腰に絡みつく。
青年の目の前に少女の首が無防備に曝され、締めてある首輪が目に入る。
「こうしていると……やはり、落ち着きます……」
打ち寄せてくる伊勢湾の海波を背中で受け止めながら、お姫様は幸せそうな表情を浮かべた。
信政が少女の腰に腕を回し、さらに引き寄せると……犬姫は辛抱たまらなくなったのか、その清楚な唇を夫の至るところに押しつけはじめる。
「んっ、ちゅっ……ちゅっ、はふ……んーっ」
「おいこら、わんこっ」
「んふーっ、ちゅっちゅっ……はふ……ちゅっ」
肩、首筋、耳朶、頬、唇と……犬姫の接吻攻勢は、次第に大胆なものとなっていた。
特に、今日の犬姫は信政の肩がお気に入りらしい。
肩口に思いっきり吸いついて、痕を残してマーキングすることに精を出している。
「こーら、やめろって」
「やっ!」
童女のような否定の声を漏らしながら、犬姫は、かぷかぷと甘噛みを開始した。
真っ白な肌を擦りつけながら、少女はご満悦だ。
お姫様のさらしも腰巻も、たっぷりと海水を吸い込み、肌にぴっちりと張りついてしまっていた。
特に、さらしの方は問題だ。こんもりとふくらんでいる犬姫のバストトップが、布越しに透けて見えてしまっており、信政は慌てて視線を逸らす。
(あぁ……クソッ、だめだだめだ……! 今日は夜まで溜めこんでおくって、犬姫と決めたじゃないか……!)
目下、犬姫と子作り期間中である信政は……自分の「種」の濃度を、できるだけ濃くする努力をしていた。
昨晩は八回も夫婦の営みを行っていたという事情もある。
現段階で身体を重ねれば、放出されるものは「薄い」だろうし、ともすれば子供を作るということを考えても……ここで犬姫を抱くことは、悪手以外の何物でもなかったのだ。
「んふふっ、信政様っ」
だが、そんな彼の事情を知ってか知らずか、犬姫は全身を使って夫に甘えている。
身体は海水に濡れてしっとりとしていたし、髪の毛も水気を含んで色気が凄まじい。
今すぐ押し倒してしまいそうな欲求を押し殺し、信政は犬姫の身体をゆっくりと引き離した。
途端に寂しそうな表情を浮かべる犬姫。
そんな彼女の額にそっと口付けると、信政は腰までの深さがある地点に進み……妻に向かって手招きする。
すると犬姫はすぐに満面の笑みを浮かべ、ざぶざぶと信政の許へと向かうのだった。
「もう……信政様は、いっつもわたしに意地悪をされるのですから……」
「別に、意地悪をしているつもりなんてないんだがな」
「いいえ、意地悪ですよ……信政様は」
犬姫は信政の胸に、「の」の字を人差し指で書きながら囁く。
「毎晩毎晩、わたしが失神するまで攻め抜かれるではないですか……あれを意地悪と言わずして、何というのです」
「いや……別に閨でのことは普通のことだと思うぞ。たまたま熱が入りすぎてしまって、わんこが気絶してしまうことが間々あるだけで……」
「ええっ……? そっ、そうなのですか……!?」
お姫様は驚きの声を上げた。
「大野城の城内にいる女子たちと井戸端会議をした際、毎晩毎晩最低五回はお出しになられる信政様は……とても逞しいというお話をされたことがあるのですが……」
「え……?」
今度は信政が驚きの声を上げる番である。
どうやら、大野城の女たちは独自のコミュニケーションネットワークを有しているらしい。
「って……わんこ、俺たちのこと……外の奴に話したことが、あるのか……?」
「だ、だって……」
犬姫は海水に濡れた身体をより一層押しつけながら囁いた。
「信政様と……もっと素敵なことをしたいでは……ありませんか。そういう時は、女同士で情報を交換するには限るのです」
お姫様は信政の胸に手を添えながら言う。
「ですが、そこでわたしは……自分がとても幸せな女なのだうと思い知らされました。『はじめて』の時は、心地よさなどまるでなかったと言う意見が圧倒的でしたが……わたしは、そうではありませんでしたし……」
「わんこ……」
「いっ、嫌です……そんな目で見ないで下さいませ……」
夫からの視線に身をくねらせながら、犬姫は恥じらう。
くねくねと動く柳腰が信政の股間と擦れ、彼女の意図しないところで愛する夫へ刺激を与えていた。
「水軍の方々は……その、一日おきに三回というのが最も多い回数のようで……。それと比べると、毎日最低五回の信政様は……先ほども言いましたが、とても逞しいのだろうと」
「……」
「そっ、それに……です! 他の女子たちと話していても……信政様は『お上手』だという結論しか出ませんでした……! 信政様に抱かれ、その心地よさに気を失って翌朝を迎える……などという展開は、なかなか信じてもらえませんでしたし」
ですから、信政様は「普通」などではないのです!
犬姫はそう言って、夫を強く抱きしめた。豊かなふくらみそのものがギュッと潰れる。
「ヨソはヨソ、ウチはウチであるということはわかっております……。ですけれど、わたしが享受している幸せは決して普通のことではない……それくらいはわかっているつもりです」
「わんこ……」
「愛しています、信政様……」
お姫様はそう言って、幸せそうなため息をつく。
「信政様の格別なご配慮で、わたしが幸せになれているということは……もうとっくの昔に、明らかになっているのですから」

その後しばらくの間抱き合っていたふたりだったが、どちらともなく身体を離し、冷えた身体を温めるために砂浜へと移動した。
身体を直接砂浜に横たえると、直射日光を浴びて加熱された砂が心地よい。
結局また、砂浜でも抱き合って転がり合うことになったのだが……それはひとまず措いておくことにしよう。
いつの間にか信政の股座は硬く張りつめており、犬姫にもそれ自体は指摘されたのだが、お互いに夜の楽しみとして我慢することになった。
快楽だけを共有する関係であるならば、この場で犬姫としてしまっても問題はないのだが……やはり、子供ができなければ離縁されてしまうことを考えれば、無駄撃ちもできないというのが実情だったのだ。
抱き合って砂浜を転がり、砂まみれになったら海に入る……そんな動作を繰り返す。
傍目から見ればバカなカップルが頭の沸いたようなことをしていると見られかねないのだが、しかし理由もなく楽しいのだから仕方がない。
愛する異性と抱き合って砂浜を転がるということは、存外に楽しいのである。
「ずっと、こうしていたいです……」
転がり合い、信政の上にきた犬姫が、夫の唇に愛情たっぷりの口付けを落としながら囁く。
「世界に信政様とわたしのふたりだけ……ふふっ、人目のないこの場所では……ついついそんな空想が浮かんできてしまいます」
「俺とお前のふたりだけ……か」
「はい」
犬姫は頬を信政の胸板に押しつけ、しっとりとした声で言った。
「そして、日ノ本をわたしたちの子供で埋め尽くすんです……そうしたら、とても平和な社会になりそう」
「……俺とお前の子供で日ノ本を埋め尽くすには、何百年何千年かかるんだろう」
「さあ……? ですが、素敵じゃないですか?」
犬姫はそう言って、幸せそうに笑った。

(初出 とらのあな購入特典)

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