【2019年3月18日】

エルフ騎士さん、エロマンガ島行こうよ出だし公開!

出だしは続きから

プロローグ
 彼女は言った。
「動くな! スケベエルフの騎士、エルルシオン・ジュス・ルルーダエルである!」
 諸兄には、いきなり押入れからエルフの女騎士が出てきて『動くな』と剣を向けられた経験はおありだろうか?
 この少年――杉並区の男子学生、笹木響一郎には、それがある。
 まさしく今がそうだった。突如現れた巨乳エルフ騎士は、右手に剣、左手には男子用のボクサーブリーフ、下半身は下着丸出しという姿にて、曰く。
「おっと、誤解するな……。私は先ほど『スケベエルフの騎士』と名乗ったが、このスケベエルフというのはただの地名だ。聞くところによれば、この地球にもスケベニンゲンという都市があるそうだが、それと同じである。決して『エッチ大好き淫乱エルフ』というわけではないのだぞ。わかったか、少年よ?」
「は、はい……。それで、そのエルフ騎士さんがどうして我が家に?」
「知れたこと。汝と――、

『 エ ロ マ ン ガ 島 行 為 』

 をするためである!」
「スケベエルフじゃねえか!」
 話を聞く限り、どう判断しても『エッチ大好き淫乱エルフ』だ。
〝剣騎士〟エルルシオン・ジュス・ルルーダエル・スケベエルフ。
 通称、エルルさん。一〇万と一七歳。人間年齢にして一七歳。
 彼女の下腹部では、ハート型の紋章がまぶしくピンクの光を放っていた。禍々しくも淫靡な魔法光だ。
「クッ、淫紋の疼きが止まらぬ……。少年よ、臆せず今すぐちん×んを出すのだ! エロマンガ島の男であるなら簡単であろう!?」
「いいや、エロマンガ島の男じゃない! アンタ、なに言ってんだ!?」

 余談だが、この後めちゃくちゃセックスした。


第一章「エルフ騎士さん、ここはエロマンガ島じゃありませんよ?」

「なんと? では、ここはエロマンガ島ではないというのか?」
「は……はい、違います。日本列島です」
「うむむ、そうであったか。魔法で調べたところ、この世界で一番エロマンガを保有している島であったから、てっきり……」
 その事実自体は否定できない。たしかに世界一であろう。
 ともあれ、いかなる理由でこんなことになったのか?
 話は少々さかのぼる。


 ある日の放課後。学校からの帰り道、少年は自転車を漕ぎながら――、
「……どっかのマンガみたいに、家にファンタジー美少女が居候しないかな」
 と、うんと声を潜めて呟いた。
 異性と非日常、若者の望む二大欲求を一度に満たす『欲張りセット』だ。恥ずかしい独り言だと彼自身も思う。
 笹木響一郎は、三年生。昨日、誕生日を迎えたばかり。
 地味で真面目でおとなしく、優等生ではあるものの、かといって成績トップというわけでもない。そんなパッとしない少年だった。決して不細工ではないはずだが女性と付き合った経験もなし。いわゆる『陰キャラ』の類と言えよう。
 しかし、だからこそ彼は華やかな非日常を求めていた。この少年に限らず退屈を嫌う年頃であったのだ。
「一〇年前のあの人でないなら、いっそ、そのくらいの子でないと……」
 響一郎少年が、そんなことを考えていると、

 ――RRRRRRRRR!

 ポケットで、スマホが鳴った。
『――あっ、お兄ちゃん! 今、どこ? すぐ家に帰ってきてくれない!?』
 妹の真緒からだ。
 この妹は中学一年生。もとから騒々しくて落ち着きのない少女であったが、声からして今は特に慌てている様子だった。
「どうした急に? なにかあったのか?」
『――う、うん……。あたし今、家に一人でいるんだけど、さっき急にお兄ちゃんの部屋からヘンな音が聞こえて……。バリバリドカーンって、すごい音よ?』
「バリバリドカーン?」
『――そう! 雷でも落ちたみたいな音! しかもお隣さんが言うには、ちょうどそのとき、やっぱり雷みたいに窓がピカーって光ったらしいの。お兄ちゃん、なにか爆発するようなもの置いてた? お部屋の中、確認したいけど鍵かかってて』
「なんだがよくわからないが……とにかくわかった。急いで帰る。火事かもしれないから気をつけろ」
 空は快晴だったが、異常気象で本当に雷が落ちたのかもしれない。いや、それどころか、ひょっとすると泥棒が忍び込んで、その拍子に家電かなにか壊したということさえ考えられる。
(真緒に『いざとなったら鍵くらい壊せ』と言うべきだったかな? かといって、そんなに気軽に壊されても困るが……)
 彼はつい最近、自分の部屋のドアに外づけの鍵を取りつけた。妹からは『漫画を勝手に借りにくい』と不評だったが、この年齢の男子である以上、守りたいプライバシーの一つや二つくらいはある。
 だが、まさか鍵をつけた直後に、このようなトラブルが起こるとは。
 一〇分後、響一郎は家へとたどり着く。
「真緒、無事か?」
「うん。火事とかじゃないみたい」
 笹木家があるのは、東京都杉並区の住宅地。駅から徒歩一五分ほどの小さな賃貸住宅だ。響一郎の部屋は二階になる。
 少年は急ぎ足で狭い階段を上がり、ドアを開けると――、
「……なんだ、これは!?」
 室内が、滅茶苦茶になっていた。
 まるで嵐のあとのように、家具や本棚の本が散らかっていたのだ。タンスはなぜかすべての段が開けられている。
 しかも、畳敷きの床には、奇妙な模様が描かれていた。
「魔法陣?」
 直径一メートル半ほどの魔法陣だ。どのようなインク(?)で線を引いたか不明だが、ポワーッと白く発光していた。
 ただの悪戯にしては本格的すぎる。
「お兄ちゃん、一一〇番に電話する?」
「そうだな、警察に来てもらった方が……」
 そのときだ。
 響一郎たちが口にした『一一〇番』『警察』といった単語に反応したのだろうか。突如、押入れの中で、

 ――がたがたっ。

 という音がした。
「だれだ! 中にいるのか!?」
 魔法陣の犯人が入っているのか? 響一郎は妹を背に庇い、警察に通報すべくポケットからスマホを出すが……。
「ま……待て! 私は怪しい者ではない!」
 がららっ、と押入れのふすまが自ら開き、中から〝彼女〟が現れた。
 甲冑を着た女エルフが。
 右手には剣、左手には男物のボクサーブリーフを握りしめ、上半身は輝く銀の鎧に包まれながらも下半身はパンツのみという格好で。
「動くな! スケベエルフの騎士、エルルシオン・ジュス・ルルーダエルである! 決して怪しい者ではない。……だから、役人は呼ぶんじゃない!」
「いいや、怪しい! 怪しすぎる!」
 とはいえ、笹木兄妹は一一〇番に電話しなかった。――これは『怪しくない』と納得したからではない。
 エルフの剣の切っ先が、二人に向いていたからだ。
「ニンゲンの少年らよ、話を聞け。私は異なる世界から来たのだ」

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