【2021年8月6日】

天才妹メイドはモルモルエロエロ!序盤公開

プロローグ うちの妹は天才です

 


「うちの娘は、天才だ」
 今日から父親となる人物が、誇らしげに言った。その視線の先には、今日から妹となる少女が感情の読み取れない顔で、じっとこちらを見ていた。否、観察していた。
「そして、うちの娘は、天災だ」
 義父が、ため息交じりに続けた。
「二人にはきっと、多大な迷惑をかけると思う。すまないが、よろしく頼む」
 大丈夫よ、と再婚の決まった母は屈託ない笑顔で答える。苦労して自分を育ててくれた母を気遣い、彼も大丈夫です、と頷いた。
(ようやく、ようやく母さんを幸せにしてくれる人が現れたんだ。少しくらい妙な妹ができたって、俺が我慢すればいいだけだ)
 愛想笑いを浮かべる少年を、少女がどこか醒めた目で見る。兄になる人物を値踏みする、そんなまなざしだった。
(警戒されてるな。昨日まで他人だったやつらと急に家族になるんだ、当然っちゃ当然か。ま、少しずつ仲良くなっていこう)
 少年のそんな思惑は、四人での新生活が始まった直後に吹き飛んだ。
「ねえ。あなた、私のお兄さんなんですよね? だったら、妹を助けてくれますよね? 可愛い妹の手伝い、断ったりしませんよね? これ、私の作った薬なんですが、飲めますよね?」
 初めて話しかけてきた義妹は意地の悪そうな笑みを浮かべながら、見るからに毒々しい色の液体を差し出してきた。
 断る選択肢は、なかった。資産家で優しそうな父と再婚した母の幸せを願い、少年はひと思いに液体を飲み干す。微妙な苦みが口内に広がる。
「おや、いい飲みっぷりですね」
「うぷっ。……自分で作ったって、ホントか?」
「ええ、そうですよ。薬草や微生物、化合物、なんでも調合しますし、どんなものでも作ります。ちなみにあなたに今飲ませたのは、味覚を一時的に変化させる薬です。なにを口にして、甘く感じられるはずです」
 そんなことできるのか、と疑いつつ、手元にあった水を飲んでみる。
「……! ホントだ! 凄ぇ! なんだこれ! お前、マジで天才だな!」
 先ほどの苦みを打ち消す強烈な甘みに、少年は目を見開く。
「お、お世辞は不要です。そもそもこんなのは、ごく簡単な薬です。天才の私にとっては、児戯に等しいです」
 天才小学生は髪をばさばさ掻き上げながら、満更でもなさそうに言う。
「ってことは、もっと凄いのがあるのか!?」
「ええ、当然です。もし、あなたにその勇気があるのなら、他にも飲ませてあげてもいいですけれど? でも、娘を溺愛することにかけては定評のあるうちのパパですら、もう飲みたくないって言ってるくらいですよ? いいんですか?」
 期待と不安が半々、といった顔で、義妹がちらりとこちらを見る。
「飲むよ、飲む! 面白そうだ!」
 この後、少年は全身の体毛が緑になったリ(元に戻るのに三日かかった)、一時的に視力が五・〇になったり(その後三日間、視力が〇・一まで落ちた)、肌がつるつるのもちもちになったり(代わりに猛烈な痒みに襲われた)した。
「なるほど。科学や化学への興味と理解があり、健康な肉体と丈夫な胃袋を持つあなたは、私にとって有益な人間のようです。なにより、この私を天才だと見抜く眼力が素晴らしい」
「眼力もなにも、誰がどう見たってお前、天才だろ」
「いえいえ、凡人は、己の理解が及ばぬ異端の存在を、無意識に下に見る性質があるんです。その点、あなたは見込みがあります」
 まだ小学生の少女は、中学生の兄を見上げながら、うんうんと頷く。
「今後は、私の専属モルモットとしての活躍を期待します」
「モル……!?」
 さすがにそれはどうなんだと言い返そうとしたそのとき、
「これからもよろしくお願いしますね」
 少女は家族になって初めての笑みを浮かべ、兄から毒気を抜く。
「……ああ、こちらこそよろしくな。あと、お手柔らかに頼む」
「はい、わかりました、兄さん」
 これが、少年が初めて彼女から「兄さん」と呼ばれた瞬間だった。

(兄さん……兄さん……悪くない響きですね。ちょっと気恥ずかしさはありますが、まあ、じきに慣れるでしょう。どうせこれからずっと一緒に暮らすんです)
 初めて少年を「兄さん」と呼んだとき、少女は喜びと興奮を覚えた。新たな家族と便利なモルモットが同時に手に入った少女の脳内に、これからの未来計画が次々と浮かび上がる。
(中学生になったら、兄さんと科学部に入りましょう。機材の買い出しや、薬の材料採取にも付き合ってもらえますね。当然、被験者は兄さんです。身内なら、人権とか倫理とか法律とか面倒なこと、気にしないでいいわけですし)
 兄というモルモットを手にした彼女はこの日以降、気にすべき点を華麗に無視することで遺憾なく天賦の才を発揮し始める。天才が誕生した瞬間だった。
 そして、少年にとっては天災の始まりでもあった。


第一章 メイド妹、初体験実験スタートです1
1 メイドのモルモット兄さん
「兄さん、朝ですよ。起きてください」
 沖下迅の朝は、自慢の妹に起こされるところから始まる。六年前に親同士の再婚でできた義理の妹・結衣は、愛らしい顔立ちや素晴らしいプロポーションの持ち主だ。しかも、誰もが天才と認める頭脳と特技の持ち主でもある。だが、
「休日だからってだらだら惰眠を貪るとか、モルモットの自覚が足りないんじゃないですか?」
 性格には若干の、いや、かなりの問題があった。
「ん……もう、朝か。……あれ。俺、いつ寝たんだっけ?」
 結衣によって点けられた照明の眩しさに目を細めつつ、迅は記憶を辿る。
「確か、メシ食って、風呂入って、それから講義の復習をしてたら、結衣が部屋にやって来て……あ」
「はい、そうです。大学合格して受験生活が終わったあとも、無駄に無意味に無目的に勉強を頑張り妹を放置する兄さんのために、私が夜食をあーんさせてあげたんです。思い出しましたか?」
「放置してるわけじゃ……あれを夜食と言い張るか、お前は」
 昨晩、迅が食べさせられたのは、粉薬だ。それも、結衣の手作りの薬である。
「あーんさせたのは、事実ですよ? 妹に無防備に口腔内を曝け出す兄さん、実に卑猥でした。あれは猥褻物陳列罪に相当します」
「お前は薬機法って知ってるか?」
「家族だからセーフです。そもそも、兄さんだって嬉々としてお口を開けて、可愛い妹の特製夜食をごっくんしたじゃないですか」
「苦い粉薬をざらざら流し込まれただけだがな。……そっから先の記憶がない。急な眠気に襲われて、ベッドに向かったところまではなんとなく覚えてるが」
「ええ、そのままぐっすりでしたよ。だから、薬の感想をまだ聞いてないんです。さ、詳しく教えてください。モルモットの意見は貴重なんですから」
 ぐっと身を乗り出してくる結衣から、迅は顔を背ける。それには、理由があった。
「それはいいが……まずはそこからどけ。いつまで俺に乗っかってるつもりだ」
 結衣は現在、迅の腹に馬乗りになっていた。掛け布団は捲られていたため、シャツ越しに義妹の柔らかなヒップの感触がはっきりと感じられる。
「重いですか? もしかして、婉曲に結衣にダイエットしろと言ってます? 確かにまた、ここのお肉が増えたのには気づいてますけれど」
 さらに身体を前に倒した結衣が示した「ここ」とは、バストだ。年々成長を続ける膨らみを強調するように両手で持ち上げ、たゆんたゆんと揺らす。
(こいつ、全部わかってて俺をからかってやがるな!)
 せめて結衣が普通の格好であれば、迅もまだ余裕を見せられただろう。だが、目の前の妹は現在、極めて布面積の少ない服を着ている。特に、胸部の露出が凄まじい。見事に育った双つの膨らみの大半が露わで、胸の深い谷間などはほぼ剥き出しである。
(あああ、そんなに揺らしたら、こぼれちまうぞ! ぽろりしちまうぞっ!)
 他にも、短いスカートから伸びる太腿と、その奥でちらちらと見えている白い下着が、十八歳の青い衝動を刺激してくる。
(ただでさえ、毎日結衣に起こされるのは心臓に悪いのに! そこに加えてこんな……こんなエロ可愛いメイドさんとか、なんのつもりなんだ、こいつは!)
 そう、迅の妹は半月ほど前からメイドになっていた。それも、極めて扇情的なエプロンドレスを纏って。
「と、とにかくどけっての! 起きられないだろーが!」
「顔が赤いですね。呼吸も荒くなってます。病気ですか? それともまさか……妹に、欲情しちゃってますか? おっぱいとパンツ見えて、興奮しちゃってます? 私のモルモット、発情期ですかね? むふゅっ」
「み、見えてねーし。白衣で隠れてるし」
 結衣はメイド服の上から、兄のお下がりである白衣も着ていた。元々、学校の制服でも私服でもいつも白衣を合わせていたのだが、それはメイドになっても同じだった。
「嘘ですね。結衣、ちゃんと白衣の前、開けてますから。兄さんが見たいであろうおっぱいとかスカートの奥は、しっかりフリーをキープしてます」
「そんな気遣いは無用だ」
「長年モルモットとして頑張ってくれてる兄さんへの、飼い主兼妹からのささやかなお礼なんですけれど。……で、どきどきとむらむらは、どういった感じです? いつもと違った感覚はありますか? どんな些細な変化でも全部報告してください」
 兄をからかう表情から一変、研究者の顔になった結衣に対し、迅は誠実に、正直に今の状態を説明した。それが、天才の妹を持った、凡人である自分の最低限の義務と考えてるためだ。
「どきどきもむらむらもしてないけどな。……特別、普段と異なった感じはないぞ。普段より多めに睡眠できた分、すっきりした気はする」
 おかげで復習は進められなかったけどな、とは言わないでおく。今月から始まった大学生活の話題になると、結衣が途端に不機嫌になるせいだ。
(俺が大学生になったのが、どうしてそんなにイヤなんだろうな、こいつ)
「ふむ。今回もまた不発ですか。まあ、服用した途端に寝ちゃった時点でだろうとは思ってましたけど」
「ずいぶんと苦労してるみたいだな。珍しく」
 薬作成の天才である妹が、ここまで苦戦する姿は過去に見た記憶がない。
「ええ。屈辱ですよ。恥辱ですよ。汚辱ですよ。私のプライドが兄さんに凌辱されましたよ。ご主人様に手籠めにされちゃいました」
「言い方に気をつけよーぜ」
「旦那様? 坊ちゃま?」
「そっちじゃねー!」
「お兄様? お兄ちゃん?」
「呼び方についてじゃねーっての!……いつまでそれ、続けんだ?」
「それ?……ああ、メイドですか。そうですねぇ、少なくとも開発中のび……新薬が完成するまでは、やめませんよ。やってみたら悪くないので、今後もずっと続けようかとも考えてます。兄さんも喜んでくれてるようですし」
 そう言って結衣は互いの吐息が感じられるほど近くに顔を寄せてきた。上体を前に倒したせいで、メイド服からこぼれそうなほどの豊乳が迅の胸に当たる。
「べ、別に喜んでなんかない。……近いっての!」
「喜んでるじゃないですかぁ、明らかに。もう、素直じゃないんですから。血の繋がってない美少女妹が、メイドで甘えてくるんですよ? これで嬉しくないなんて、あり得ません」
 兄をからかえて満足したのか、結衣は身体を起こす。が、迅の腹の上からどくつもりはないらしい。
「……こういった反応を見る限り、男性としての兄さんは正常なんですよね。なのに、なんでうまく薬が効かないんでしょう? 肉欲だけ刺激するのは簡単ですけど、あくまでも心を制御するのが最終目標ですし……」
 結衣はなにやらぶつぶつつぶやきながら、思索に耽る。一度こうなると周囲が見えなくなると熟知してる迅は、妹の意識が戻ってくるのをのんびり待つことにする。
(待つのはいいんだが……この体勢は勘弁してもらいたかったな)
 結衣は迅に馬乗りになったまま、自分の世界に没頭している。
(結衣はもうちょっと、男を、俺を警戒することを覚えて欲しいなぁ。俺の理性だって、いつまで頑張れるかわかんねーんだぞー?)
 いつからかは自分でも判然としないが、迅は結衣に対して、妹以上の感情を持つようになっていた。ただ、それを伝える気はない。むしろ、死ぬまで隠し通すつもりでいた。
(俺を一人で育ててくれた母さんや、優しい父さんを悲しませるわけにはいかないもんな。今のこの幸せな生活を壊すわけにはいかないんだ)
 だから迅は瞼を下ろし、目の前の刺激的すぎる光景を遮断した。愛しい妹の肌も露わなメイド姿をこのまま見上げ続けていたら、自分が過ちを犯しそうで怖くなったからだ。
(どうしてメイド? それに、こいつがここまで苦戦する薬って、なんだ? まさか、不老不死とか狙ってるのか?……うっ)
 迅なりに結衣の狙いを推理していたそのとき、緊急事態が発生した。尿意だった。
(まずい……マジで危機的状況! 堪えろ、俺の膀胱!)
 妹の才能を誰よりも理解し、尊敬してる迅は、結衣の思考を妨げてはならないと、決死の覚悟で我慢した。ときおり襲来する強い尿意を押し返すため、致し方なく身体を揺すった際、
「ン……あっ……んふ……ン」
 迅の腹に密着した股間が擦れたのか、結衣が無意識に悩ましげな声を漏らす。
(やめろ! そんな声出すな! 俺の集中力を乱さないでくれぇ!)
 結衣が深い思考の海から浮上して現実に戻ってきたのは、三十分後のことだった。

2 からかい上手
(ふー、危なかったぜ。大学生になってお漏らしとか、シャレにならん。しかも、結衣に乗っかられたままとか、想像しただけで恐ろしい……)
 危機的状況をすんでのところで回避に成功した迅が、安堵の表情で自分の部屋に戻ると、
「お帰りなさいませ、ご主人様」
 ただでさえ短いスカートを指でつまみ上げた結衣が、にやにや笑いながら出迎えてくれた。頭を下げるふりをして、胸元もアピールしてくる。
(くっ、こいつはまた俺をからかって! 俺の気も知らないで! いや、知られるとまずいんだが! 二度と兄と呼んでもらえなくなるんだが!)
 これからも結衣の兄であり続けるため、柔らかそうな太腿や深い胸の谷間から目を逸らしつつ、ベッドに腰かける。
「トイレを我慢してたんですね。気づかなくてすみません」
「いや、お前がああなるとどうしようもないのはわかってるから」
「そうだ。今度、兄さんの尿を検査してもいいですか?」
「ダメ」
「なぜですか。妹に自分の尿を調べさせるプレイですよ、興奮しないんですか?」
「お前の発想がマジ怖い。……血なら調べさせてるからいいだろ」
「兄さんの体液は全部調べたいんです。もし不公平だと感じるなら、結衣の体液も提供しますよ?」
 体液、という響きが妙に淫靡に感じられ、迅は一人、脈拍を速める。
「で、お前はいつまでここにいるんだ? せっかくの休日なのに」
「せっかくの休日だから、ですよ。兄さんが大学なんか行くから、実験の時間が減って困ってるんです」
 恨めしげに兄を睨みながら、結衣が隣に座る。自然に腕を組んでくるため、二の腕に胸が当たってしまう。
「で、でもお前、俺が就職希望って言ったら、めちゃくちゃ反対しただろ」
 義妹の身体に反応してると気取られてはなるまいと、努めて平静さを装う。
「当たり前です。来年、結衣も兄さんと同じ大学に行くんですから。就職なんかしたら、もっと私との時間がなくなるじゃないですか」
「俺としては、早く自分で稼げるようになりたかったんだけどな」
 母と二人でかなり苦しい生活をしてきた迅には、経済的に自立したいという気持ちが強くあった。それは、複数の会社を経営する義父ができて、なに不自由ない生活を六年間送ってきた今も変わらない。
「慌てなくても、卒業したらいくらでも稼げますよ。パパの後を継げばいいんですから」
「父さんの後は結衣が継ぐべきだろ」
「兄さんは、私に経営者が務まるとでも? いえ、まっとうな社会生活を送れるとでも? 一年で倒産させる自信ありますよ」
「…………」
 沈黙で肯定する。
「もちろん、婿をもらうとかもあり得ませんから。必要ないですから」
 なぜか結衣が、じっとこちらを見つめてくる。
「パパだって、兄さんに後を継がせるつもりですよ。だから、兄さんには経営学部を勧めたんでしょうし」
 高校の進路希望調査の際、迅が就職したいと告げた瞬間、沖下家では緊急家族会議が開かれた。実母は「好きにしたらー? どうせ好きにはできないだろうけどー」とにやにや笑いながら言った。問題は、義理の父と妹だった。
『就職は早くても四年後で。できれば大学は出て欲しい。せっかく成績もいいんだから。特に希望がないなら、経営学部で是非』
『自宅から通えるところ以外は絶対に許可できません。家を出るなどと言ったら、モルモットのようにケージに入れて監禁します。その覚悟はありますか?』
『迅さえよければ、このまま結衣の世話……保護……監視……ええと、そんな感じ面倒見てもらえると助かる。就職先は心配しなくていいから。用意してあるから』
『でも、理想は浪人です。そして来年、結衣と一緒に入学しましょう』
 父と妹の極めて強い圧に屈した結果が、現在の状況である。
「この貴重な休日を使って、私は新薬の開発を進めなければなりません。もっと簡単に完成できると思ってましたけど、さすが古今東西の人類が追い求めてきた薬だけあって、難敵です」
「結衣がこんだけ長いあいだ研究開発して作れなかったのって、初めてじゃないか?」
「ですかね。まあ、勝算のないものは最初から作らないこともありますが」
 過去に、結衣から受けた説明を思い出してみる。
『まず、作りたい薬を明確にイメージします。すると、色……みたいなものが浮かんできます。それに合わせてあれこれ調合するんです』
『たくさんの絵の具を混ぜて、狙った色を目指す感じ、でしょうか。ただし絵の具は無数にありますから、なかなか大変です』
『材料にはそれぞれ固有の色がありますけど、処理でころっと変わったりするので、これも面倒です』
『微生物の中には特別に強力な色があって重宝します。私には大まかな色が見えるから多少は楽ですけど、それでも種類が多すぎて、調査が追いつかないほどです。逆に言えば、ここには無限に近い可能性があるのですが』
(うん、俺には理解の及ばない世界だ。考えるのはモルモットの仕事じゃないしな)
 規格外の才能を持つ義妹を尊敬してる兄はあっさりと思考を放棄し、目の前の、現実的な問題に意識を戻す。
「なにを作ってるかは、教えてくれないんだろ?」
「はい。兄さんに伝えてしまうと、先入観が結果に影響してしまいますから。兄さんには、まっさらな状態で実験に付き合ってもらいたいんです」
(つまり、俺の精神に影響を及ぼすタイプか。さっきも、俺の心がどうこうって言ってたしな)
 普通は、自分の精神に作用する薬など怖くて飲めたものではない。けれど、迅にはそういった感覚が希薄だった。結衣の才能を信じてるのが一番の理由だが、六年ものあいだ、様々な薬の実験台にされた経験が大きく影響していた。
(まー、大丈夫だろ)
 それは慣れなのか、危機感の麻痺なのかは、人によって判断が分かれそうだが。
「ですが、開発計画の無期限延期も視野に入っています。なかなかの時間と労力をかけた計画なのでもったいない気持ちもなくはないですが、成功の目処が立たない以上、別の手段を講じたほうが結果的には早い、という判断です」
 なにを作りたいのかわからないので、迅は「ふうん」としか反応できない。
「ん? 別の手段? 薬を使わなくとも、狙ってる効果は得られるってわけか?」
「ええ。実は、薬と並行してすでに開始してるんです」
 太腿を見せつけるように足を組みながら、結衣がじっと迅を見つめてきた。
「効果は?」
「徐々にではありますが、着実に狙った結果が近づいてる感触はあります」
 結衣はそう言いながら身体を近づけ、柔らかく弾力のある感触を迅に伝えてくる。
「じゃあ、薬の開発はもうしなくていいんじゃないか?」
 腕に感じる膨らみから懸命に意識を逸らしつつ、尋ねる。
「攻撃手段は複数用意しておくべきですから」
「……念のため確認するが、その攻撃の対象って俺、なんだよな?」
「はい」
 結衣が即答する。妹との関係は、なんだかんだと良好と思っていた分、兄としてはショックだった。
「俺、お前に嫌われるようなこと、したか?」
「結衣を置いて大学に進学しました」
「それはしかたないだろ」
「冗談ですよ。怒ってるのは事実ですけど。……兄さんを嫌ってたら、こんな実験、しません。逆です」
「逆?」
 どういう意味だ、と問い質そうとしたそのとき、かたん、と音がした。ドアの下部に開けられた小さな出入り口から現れたのは、モルモットのモルダだ。
「ぷいぷい、ぷい!」
 前髪(?)がエメラルドグリーンをした沖下家のマスコットは二本足で立ち上がると、可愛い声で鳴く。モルダという名前の由来は、この特徴的な毛色だ。モルダバイトは隕石由来のガラスで、透明感のある緑色をしている。
「ああ、朝ご飯ですね。わかりました、すぐに行くとママに伝えてください」
「ぷい!」
 飼い主である結衣の言葉に頷くと、モルダは再び自分専用のドアから廊下に出た。ぽてぽてと可愛い足音が遠ざかっていく。
「……元気になったなぁ、あいつ」
「ええ。あのときばかりは、自分の才能に感謝しましたよ。正直、あそこまで劇的な効果があるとは。嬉しすぎる誤算です」
 生まれてすぐ、無責任な飼い主から捨てられたモルダを保護したのは結衣だ。獣医でも手の施しようがないくらいに衰弱しきっていたモルダに、特製の薬を与えた結果、ああしてすっかり元気になった。
「副作用も実に興味深いです。研究できないのが残念ですが」
 投薬で健康を取り戻したモルダには、他にも二つ、変化が起きた。一つは、前頭部の毛が緑色になったこと。そしてもう一つが、知能が飛躍的に高まったことだ。
「あまり残念そうじゃない顔だけどな、お前」
「そうですね。可愛いモルダにストレスかけるような実験は絶対にしたくありませんし。あと、ほら、いざとなれば私には兄さんという専属のモルモットがいますから」
 結衣は早い段階から、自分は普通の研究者にはなれないと周囲に宣言していた。かなり独特な、もしかしたらオカルト的なスキルで薬を調合してるのが最大の理由だが、動物実験をしたくない、できないという事情もある。
 元々そういった性格だったことに加え、実母を病気で亡くしたのが大きく影響したのだろうと、迅は父から聞かされていた。
「俺にストレスかけるのはいいわけなんだな」
「だって兄さんは、自ら望んで私の実験台になってるわけじゃないですか。そこがモルダとの大きな違いです」
「俺がもうモルモットはイヤだ、と言ったらどうする?」
「は? モルモットの分際でなにほざいてるんですか。兄さんに、いえ、モルモットにそんな自由があるとでも? 何様のつもりですか。身の程をわきまえてください、ご主人様」
 辛辣なセリフとは裏腹に、結衣は家族にだけ見せる笑みを浮かべ、迅の肩にこてん、と頭を乗せてきた。
「さ、朝食に行きましょう。パパとママが待ってます」


3 白衣の袖
 余った白衣の袖をぶらぶら揺らす(この仕草がとても愛らしくて、迅は大好きだった)結衣と二人、ダイニングキッチンに入ると、すでに両親は席に着いていた。
「おはよう、二人とも」
 多忙だが、朝と休日は可能な限り家族と一緒に過ごすと決めている父と、
「今朝はパンにしたから」
 専業主婦の母が兄妹を迎える。
「ぷい!」
 先ほど迅たちを呼びに来てくれたモルダも、自分専用の皿の前でちょこんと座って待っていた。
「おはよう、父さん、母さん」
「おはようございます、パパ、ママ」
「結衣、ご飯のときはちゃんと袖、まくりなさい」
「はーい」
 結衣は父の指示に素直にしたがい、白衣の袖をまくる。
「いや、父さん、袖よりも先に注意すべき点があると思うんだけど」
「ん? 可愛すぎてパパを困らすな、とか?」
「…………」
 優秀な経営者であるものの、手遅れレベルの親バカである義父の大真面目な表情に、迅は言葉を続けられない。
「おいおい、なんだい迅、その顔は。お前だって同類なんだぞー?」
「そうそう、あなたもこの人に負けないくらいの結衣ちゃんラバーのくせにー」
「ふふふ、兄さんのシスコンっぷりは筋金入りですからねー」
「なんで俺、家族全員からそんな目で見られなきゃならないの」
「ぷいぷいー」
「モルダまで!?」
 四面楚歌であった。が、別にシスコンなのは隠してないし(隠せてないとも言う)、今さらなので軽く受け流す。
「シスコンでいいよ。でも、メイドマニアじゃないから。……父さんたちはこのままでいいの? こいつのこれ」
「愛しの妹に向かってこれとは失礼ですね。ホントは気に入ってるくせに。可愛い妹がメイドですよ? 至高の組み合わせですよ? 火に油レベルの相性のよさですよ?」
「不穏なヴィジュルあるしか浮かばん喩えはやめてくれ」
 怪獣映画を観て、口から炎を吐けるようになる薬を開発した過去を持つ結衣を、迅は苦々しい顔で見る。
「一瞬だけ炎、吐けたじゃないですか。火傷もなかったし」
「一週間、口の中がずっと薬臭かったけどな」
「僕でもそんな薬はさすがに口にできないなぁ。さすが我が息子、結衣を愛する気持ちは父譲りだね」
 義父が、どこか尊敬のまなざしでこちらを見つめる。
「あ、愛って」
「メイドのなにが問題なんだい? 確かにまあ、ちょっと大胆かな、とは思うけど、白衣着てるし、家族にしか見せないならいいんじゃない?」
「結衣ちゃんに似合ってるし、可愛いし、ありがたくお世話してもらいなさいよ。この果報者」
 メイドになる際、結衣は父と母にもその旨を報告し、許可を得ていた。
『いつも迷惑をかけてる兄さんに少しでも恩返しするため、メイドになりました。この格好は可愛くて気に入ってるけど、パパやママ、兄さん以外の前では見せません。あと、ご主人様である兄さんの指示には絶対に従います』
 反対される可能性のある点を先回りして潰した上で、健気さと安心をアピールする辺り、抜け目がない。特に、最後のセリフが効果的だった。破天荒な娘の管理・監視・保護に関しては、親から絶大な信頼を得ている迅である。
 結衣はたまに、「旦那様、肩が凝ってますね」「奥様、片づけは私がやります」などと可愛いメイド娘アピールもしていた。結衣に言わせると、
『私の側に兄さんがいる限り、パパもママもたいていのことは許してくれるんです。これまで結衣のお世話を頑張りすぎた結果ですね』
 らしい。
「ふふ、思い出しちゃうなぁ、昔のこと」
 家族五人(沖下家ではモルダも家族扱いだ)での朝食が終わると、父がどこか懐かしそうに目を細めて語り出した。
「再婚する直前、結衣が反抗期になってね。そりゃもう大変だったさ」
「その頃ってまだ結衣は十歳くらいでしょ。反抗期には早くない?」
「いやいや、うちの娘は天才だからね、むしろ遅すぎるくらいだよ」
 迅の指摘に、父は親バカ全開で答える。
「パパの言うとおり、あれが私の第二次反抗期でした。まあ、若気の至りで、色々やらかしましたね。お恥ずかしいことです」
「お前に恥ずかしいという概念が存在してるのか、俺はずっと疑問視してる」
「結衣には片親という負い目があったから、強く出られなくてね。それが余計に結衣を苛立たせたのかな、毎日、身の危険を覚えたものだよ。食べ物飲み物に謎の薬が混入されてて、何度か解脱しそうになったっけ」
 コーヒーカップを持ったまま、父、微笑む。
「いい感じの思い出っぽく言ってるけど、父親に身の危険を覚えさせる小学生の娘って時点で、相当にヤバいのでは。というか解脱って」
「だってほら、うちの娘は天才だから」
「だってほら、私は天才ですから」
 父と娘の声がハモる。そして、互いに「いぇーい」とか言いながらハイタッチをしてる。普段は全然共通点がない二人だが、こういうときに遺伝子の神秘を感じる。
「でね、三日三晩寝なくても全然疲れない薬を飲まされたとき、さすがにこのままでは娘の教育によくないと思ってね、カウンセラーに連れていったんだ。そうしたら、極度のストレスが原因だろうと」
「私もまだ若かったので、感情のコントロールが未熟だったんです」
「現役女子高生がなに言ってやがる。……感情のコントロールなんて、今でもできてないし」
「自分でコントロールしなくとも、兄さんが私の手綱を握ってくれますからね」
「確かに。頼もしい息子だ」
 うんうん、と頷くこの父、再婚して数カ月後にはもう、娘の世話を義理の息子に全面譲渡した前科がある。本人曰く「適材適所だ」とのことらしい。もっとも、この判断が適切であったことは、家族全員が認めている。当然、迅自身も、だ。
「そんなことがあったの? ママ、全然知らなかった」
「パパとママが再婚してからは生活が楽しくて、反抗したりイライラするのがもったいなくなりましたからね。ママのおかげです」
「うふふ、ありがと。でも、一番役立ったのは、お兄ちゃんでしょ?」
「はい。だから今度は私が兄さんのメイドとなって、恩返しをするんです」
 結衣の優等生発言に、父も母もうんうんと頷く。どうやら感動してるらしい。
「そういうわけですので、いっぱいご奉仕しちゃいますね、ご主人様」
 長い袖で口元を隠した妹メイドは、迅にだけ見えるよう、にやにやと笑うのだった。

4 独占されて
「狙った効果が出ないのは、薬の投与量が少ないからかもしれません」
 部屋に戻り、問診を終えた結衣はそう言った。ベッドに並んで座ってるため、ちょっと視線を横に向けるだけで、妹の柔らかそうな大渓谷が覗けてしまう。
(いかんいかん、自重しろ、俺。理性だ、理性の鎖で己の中の獣を繋ぎ止めるのだ)
「……飲む量を増やすのか?」
 気持ちを落ち着かせるため、軽く深呼吸してから尋ねる。
「いえ、一度に吸収できる量は決まってます。回数を増やしましょう」
「今は朝と晩だから、昼もか?」
「はい。できるなら私が大学まで行って、兄さんにあーんしてもいいんですけれど。衆人環視の中で。……やります?」
「やらんでいい。やらないでくれ。マジで」
 この妹なら本気でやりかねないと、迅は若干脅えつつ頼む。
「心配性ですねえ。大丈夫ですよ、パパたちと約束したとおり、結衣がこの格好を見せるのは家族だけです。もちろん、ご主人様のご命令ならば、全裸を晒すことも厭いませんし」
「そんな命令はせんから安心しろ」
「そうですか。残念です。……あ。エプロンドレスじゃなく、制服なら問題ないですよね」
「女子高生が大学にいたら目立ってしかたないだろ」
 それもお前みたいな可愛いやつが、と心の中で付け加える。
「では、私服なら」
「お前は毎日、昼に学校を抜け出すつもりか」
「最初から学校に行かない選択肢もありますけど」
「こら」
「ふふ、冗談ですよ。結衣、ちゃんと学校には行きます。せっかく、兄さんのおかげで普通の女子高生みたいな生活できるんですからね」
「俺は関係ないだろ」
「ありますよ。自慢ではないですが、私は素行の悪い優等生ですからね。兄さんのフォローがなかったら、とっくに不登校でした。多分、高校にも進学せず、家で一人、怪しげな実験をしてたと思います」
 珍しく神妙な顔になった結衣が、自嘲気味に言う。
「兄さんが兄さんになってくれなければ、私は頭のおかしなやつとして、今頃は学校にも通ってなかったはずです」
「さすがにそこまでじゃないと思うが」
「そこまでですよ、私。……兄さんがいたから、曲がりなりにも一般人っぽく生活できてるんです」
「そうかぁ?」
「私は一つのことに興味を奪われると、他が見えなくなります。いえ、見えてはいるんですけど、優先順位が低いものがどうでもよく思えるんです。兄さんが兄さんになってくれなければ、学校だけでなくパパですら、そうなってたかもしれません」
 目を伏せた結衣の横顔は、どこか脅えてるようにも見えた。
「色々なことに興味を持って、それを納得いくまで調べないと満足できないってのは、俺は結衣の長所だと思うぞ。あと、父さんまでどうでもよくなるなんて、絶対にないから。お前をお前以上に知ってる俺が言うんだ、そこは大丈夫だ。信じろ」
「ふふ、相変わらず結衣の制御に長けてますね、兄さんは。でも……ありがとうございます。さすが、私のモルモットです」
「そこは素直に兄として褒めようよ!?」
 文句をつけつつも、いつもの結衣に戻ったのがわかり、迅は内心、安堵する。
「最高級に褒めてるんですが。私のような特殊な研究者にとって、兄さんというモルモットの存在は、ホントに貴重なんですから」
 結衣は九十度身体を横に向け、迅に正対する。
「私の研究や実験は、かなり特殊です。一般的にはオカルトと称される手法や材料も用います。再現性や客観性を満たしてませんし、安全や倫理も二の次です。だから、科学の世界では絶対に受け入れられません」
「俺としては、安全と倫理は考慮してもらいたいところなんだが」
 迅のつぶやきは、華麗に無視された。
「けれど、結衣には兄さんという最高の実験台兼理解者がいます。不満などあるはずがないです」
「理解者の前に実験台って言葉が出てくるところが、俺には不満だがな」
「そこは見解の相違ってやつです。……感謝してる兄さんの指示なので、学校にはちゃんと行きます。お昼休みに抜け出しもしません。代わりに、お弁当を渡します」
「なるほど。薬を混ぜた昼飯を食べろってことだな」
「いえ、薬は別にお渡しします。お弁当は、薬の効果を引き上げるための道具です」
「?」
「兄さんの食生活は今後しばらく、メイドである私が管理します。私がチェックしたもの以外は口にしないでください。びや……薬の効果が最大になるよう栄養バランスを計算した、愛妹弁当です。飲み物も別途用意します」
「つまり俺は、外食も買い食いもダメなわけか」
「はい。もし、ご学友と食べることになった場合は連絡をください」
「連絡すれば食べていいのか?」
「いいですよ。その代わり、会食には可愛い妹が同席しますけど。なにを摂取したか、確認するために」
 真顔の妹を見て、ああ、これはしばらく友達からの誘いは全部断らないとな、と諦める迅だった。

5 ファーストキス
(おかしいですね。媚薬の開発が芳しくないのは承知してましたが、次善の策であるメイドと精力剤のコンビ攻撃まで不発とは。予想では、兄さんはとっくに野獣化してるはずだったのに)
 メイドとなって一カ月が、精力剤をたっぷり混ぜた愛妹弁当を持たせてから半月が過ぎたこの日の晩、結衣は首を傾げていた。
(メイドですよ? 超絶可愛い天才ラブリー義妹が、ブラも着けられないようなエロエロメイド服で毎朝毎晩迫ってるんですよ? 普通、脊髄反射で襲いますよね?)
 いつものように勝手に入った兄の部屋で、天才少女は本気で困惑していた。もっとも、家族になって以降、兄に入室の許可をもらった記憶もないのだが。
 結衣は先日読んだ論文の内容を思い返しつつ、ベッドに仰向けに寝転ぶ。
(世の中の男性は、血の繋がらない妹がメイドになると、一週間以内に六十七%、二週間後は七十七%の高確率で性的衝動に駆られると論文にあったのに。一カ月経ったら、それはもうほぼほぼ一〇〇%だと考えて当然ですよね?)
 科学的とは言い難い思考になるのは、それだけ困惑してる証だ。
(兄さんが私を異性として好きなのは、間違いありません。ただのシスコンでは、こんな面倒で厄介で頭のおかしな義妹の面倒なんて無理です。そこには愛があります。愛があれば当然、愛欲があるに決まってます)
 大学に持っていく弁当に混入した特製精力剤の効果も、現状では不明だ。迅から向けられる視線がこれまでに比べ強くなってる感覚はあるのだが、それが薬の効能か、露出度の高いメイド服の影響なのかもわからない。両方の可能性も当然ある。もしくは、結衣の願望による錯覚というケースも考えられる。
(やはり、媚薬は継続開発するべきですね。考えたくはありませんが、このままの状況が続いた際の保険として)
 最近、朝晩と迅に飲ませていたのは、媚薬だ。とは言っても、恋愛感情がゼロの相手に惚れさせるような強力なものではない。元からある想いの背中を押す、そんなイメージで調合したのだが、期待した結果には至っていない。
(恐らく、兄さんの理性が強固なだけでしょう。まったく、無駄な我慢です。血が繋がってない妹なんて、据え膳以外の何者でもないというのに)
 結衣は目を瞑り、ここ最近の迅の姿を思い返す。自然と口元が緩み、にへら、と笑ってしまう。
(ええ、ええ、やっぱり兄さんは私に惚れてます。好いてます。発情してます。隙あらば結衣を押し倒し、このたわわのおっぱいを揉みしだき、兄さんのために大事に守ってきた純潔を荒々しく奪いたいとむらむらしてるとしか思えません)
 多分に願望も含まれた、己に都合のいい解析を済ませたブラコン少女はさらに思考を進める。
(このままの状況を維持してれば、いずれは兄さんの理性も崩壊するでしょうが、これ以上は待てません。とっととラヴラヴになって、充実した毎日を送りたいです。パパとママみたいに)
 再婚して六年経つが、いまだに新婚みたいに仲のいい両親が結衣の目標だった。
(事態を動かすのが、手っ取り早そうですね。ヘタレなモル兄さんにも困ったものです。さてさて、どうやって揺さぶりをかけましょうかねえ。でも、まずは……っと)
 結衣はちらりと時計を見る。夕食後、迅が浴室に向かったのが七分前。
(兄さんの平均入浴時間は二十七分、つまりあと二十分ほどは私の天下です。せっかくですので、兄さん成分の補充をしておきましょう)
 ベッドの上でくるりと反転し、今度は俯せになる。そして枕に顔を埋めると、思いきり匂いを嗅いだ。
(はああああぁん! 兄さんの匂いが鼻から肺に充満します……あー、あー、これはヤバいです、妹の脳細胞にがんがんにキまっちゃうやつですよ、これはぁ)
 白衣とメイド服に包まれた肢体をばたばたと動かしながら、結衣は深呼吸を繰り返す。
(安心感と同時に性欲を掻き立てる兄さんフェロモン、最高です……!)
 昨年までの結衣は、なかなか想いに応えてくれない迅に苛立ってはいたものの、焦ってはいなかった。兄が自分に惹かれてるのはとっくにわかってたし、この先もずっと一緒なのだから、いくらでもチャンスはあると思ってたからだ。しかし、それは慢心だった。
(私みたいに甘やかされて育った娘にとって、環境の変化がどれだけのストレスか、予測を誤りました。ずっと近くにいて支えてくれた大好きな兄との接触時間が減少すれば、精神防御力が紙のブラコン妹がおかしくなるのは明白なのに)
 ストレスが結衣の精神を蝕み始めたのは一年前、迅が卒業するため、同じ学校に通えなくなると実感し始めた頃である。
(なにしろ兄さんの妹となってからはほぼずっと、一緒の校舎だったんです。もちろん私も来年は同じ大学に入りますけど、ソロの一年は長すぎます)
 学年が異なるのだから、迅と一緒にいられるのは基本、登下校と部活動だけだ。だが、それがいかに貴重な時間だったかを、結衣は痛いほど思い知った。
「私がこんなに大変な目に遭ってるのに、兄さんだけ特に変わった様子がないのは不公平だと思いませんか、モルダ。思いますよね?」
 枕から顔を上げて問いかけると、
「ぷいっ」
 ベッドの端にいたモルダが、うんうんと頷きながら同意してくれた。
(兄さんが風呂から上がるまであと十六分三十秒。……行けますね。イケますね)
 迅の匂いによって生じた下腹部の甘い疼きを鎮めるため、結衣は淫らな独り遊びを始めた。まずは布団を頭まで被る。これには、濃厚な兄アロマに身を包まれる効果がある。そして顔面を思いきり枕に突っ込み、両脚を大きく開き、尻を持ち上げる。
(メイドにこんな卑猥な格好をさせてなんのつもりですか兄さん。犯すんですか。血が繋がらないとはいえ妹に尻を掲げさせて、バックから貫くんですか。動物みたいに貪るんですか。極悪ですよ。恥を知ってください)
 目を瞑り、これまで何度したかわからない妄想ドラマを展開する。
 このとき、モルダは飼い主のために専用ドアから廊下に出て見張りにつく。迅が帰ってきた場合、いち早く結衣に知らせるためだ。
(兄さんがちらちらと私の女体を視姦してるの、気づいてるんですからね。胸の谷間とか、絶対領域とか、すっごく視線を感じるんですから。私も視られてすっごく感じてるんですから……ぁ)
 迅が予測より早く戻ってきたことを考慮し、エプロンドレスは脱がず、ショーツの中に手を潜らせ、クレヴァスを指でなぞる。
「あっ……んっ……濡れてる……妹汁、分泌中……ぅ」
 思ってた以上に溢れていた愛液を割れ目に塗るように指を往復させる。同時に、服の上から乳首を転がす。
「はあぁっ! ここ、ここが先っちょ、ですよお……ンンン!」
 妄想の中の兄に乳首の位置を伝えつつ、指に力を入れ、柔溝をいじる。ときおりスリットの上にあるクリトリスにも触れて、快楽を加速させる。
「あっ、ダメ、そこは急所、女の子の弱点ですぅ……はあっ、あっ、はうぅっ!」
 尻をびくびくと跳ね上げ、切なげに吐息を漏らす。
(もし、もし兄さんが今夜に限って早めにお風呂から上がったら……モルダの警告が遅れたら……兄さんがいきなりこの布団を捲ったら……ああっ、怖い、恥ずかしい、でもぞくぞくします……!)
 破滅と隣り合わせのスリルに煽られ、結衣の性感は急角度で上昇していく。
「はっ、んっ、くうぅ、んっ、ふっ、んふんん……!」
 無意識に兄の枕を噛みながら、次々と溢れてくる秘蜜を濡れ広げるように媚唇を擦り、陰核を包皮の上から転がし、アクメを目指す。
(来る、来る、気持ちイイのがすぐそこまで……アア、イク、イキます……!)
 迅との時間が減った埋め合わせするため、結衣がオナニーに耽る頻度が高まっている。その影響か、早くも愉悦の頂に近づいていた。尻をさらに高く掲げ、オーバーニーソックスに包まれたつま先をぎゅっと丸め、兄のペニスに見立てた己の指で膣口をまさぐる。
「んっ、はっ、はあぁっ、イク、イキます……ああぁっ、兄さん、ダメ、結衣、もうイク、結衣、イッちゃいますからぁ……アーッ、アーッ!!」
 第二関節手前まで潜らせた人差し指をくいくいと折り曲げ、膣壁を擦った直後、結衣は絶頂を迎えた。兄の枕に涎を染み込ませてることにも気づかず、メイド少女は甘い余韻に不規則に身体を震わせる。
(はううぅ、イキましたよぉ、しっかりイカせてもらいましたよぉ。やっぱり兄さんのベッドでするオナニーはたまりませんよぉ)
 できればこのまま心地よい気怠さを味わっていたかったが、そうもいかない。
(兄さんがやって来る予想時間まであと四百二十秒。証拠隠滅をするには、あまり余裕ありませんね)
 のそのそと起き上がり、布団と枕を元に戻す。自分の残り香があるかもしれないが、これは特に対策はしない。就寝時、妹の匂いを意識して欲しいからだ。同様の理由で、部屋の換気もしない。
(そもそも、兄の部屋に妹の匂いやフェロモンや体液や体毛があるのは普通ですから。むしろ、ないほうが異常ですから)
 ブラコンメイドはベッドから下りるとスカートの乱れを直し、鏡を見てカチューシャと髪を調える。そして掃除機のスイッチを入れたところで、モルダが室内に戻ってきた。とたたたたと軽快に結衣の肩に乗り、ぷいぷい、と鳴く。
「見張りご苦労様です、モルダ。……今日は平均より九十秒短い入浴でしたね」
 セリフの後半は、ドアを開けた迅に向けたものだ。
「ん、掃除してくれてたのか? ありがとな、結衣」
「いえいえ、メイドとして当然のことですよ」
 ついさっきまで義兄をオカズに自慰をしてたとは思えない澄まし顔で応える。もちろん本気で掃除するつもりなどなく、ただのカモフラージュだ。一応、モルダの抜け毛くらいは吸い取っておくが。
「掃除してくれるのはありがたいけど、夜にやらなくても……」
「大丈夫ですよ、パパとママの部屋はここからだいぶ離れてますから、ちょっとやそっとの物音立てても聞こえません。それこそ、悲鳴上げても大丈夫です」
「悲鳴上げる事態が起きたら、その時点で大丈夫じゃないだろ」
「はあ……。ホント、察しが悪いですよね、兄さんは」
「は?」
「気にしないでください。あ、ちなみに私はそこそこ声を出すタイプです、どうやら。さっきも枕がなかったら、結構な音量になってたと推測されます」
「??」
 まさか喘ぎ声について言われてるなどとわかるはずもなく、迅は首を傾げる。
「なんなら、兄さんの身体も掃除しましょうか。お風呂で。しっかりみっちり、隅々まで洗ってあげますよ? ほら、私、メイドですから」
 一度は兄と一緒に入浴したいとずっと考えてた結衣は本気で提案するが、
「いや、えっと……そうだ、俺、風呂上がったばっかりなんだわ」
 迅は目を泳がせながら拒む。
(想像しましたね。可愛い妹メイドに全身を泡洗いされる淫靡な光景を妄想しましたね。なら、ここは己の欲望に素直に従い、今すぐ私の手を引いて、もう一度お風呂場に連れ込むのが正解なのに。兄さんの、意気地なし)
「なるほど、では明日の夜にでも、一緒に入りましょう」
「えっ!? ダメだって。その、お互い、それなりの年齢なわけだし」
「兄と妹が仲良く入浴する。この行為のどこに問題が?」
「問題しか存在しねぇって」
「小さい頃はよく一緒にお風呂も入ったじゃないですか。私の胸が膨らみ始め、下腹部にうっすら性毛が生えてきてからも『兄妹だからセーフ』などと言って、無理矢理ロリ妹を浴室に連れ込んだくせに」
「兄の罪を捏造しないでくれる!? お前と風呂に入ったことなんて、ただの一度もねーよ!」
 兄妹になったときにはすでに迅は中学生、結衣も高学年だったので、二人で入浴したことは残念ながらない。結衣が兄への恋心を自覚して以降、何度か偶然の事故を装っての入浴を企んだものの、そのどれもが失敗に終わっている。
「あれ、そうでしたか。でも、兄さんの裸なんてしょっちゅう見てますから、私は平気ですよ」
 こちらの言葉は事実だった。兄の着替えや入浴のタイミングを狙って、結衣が乱入するからだ。
「お、俺じゃなくて、お前が平気じゃないだろ!?」
「は? もしかして私が気にするとでも? モルモットが服を着ますか? モルモットに裸を見られて恥ずかしいですか? まったく、モル兄さんは自意識過剰ですね」
「はいはい、生意気なモルモットで悪かったな」
 この話題はもうおしまい、とばかりに、迅が手をひらひらと振る。
(妹が兄の裸体を至近距離で観察したいと思うのは、ごくごく当然だとなぜわからないんですか。局部の勃起現象も調べたいのに)
 結衣はじと……と迅の顔を睨む。そしてそのまま視線を下げ、兄の股間を見つめる。
(あの中に兄さんのペニスがあるんですよね。しっかり調査したいものです。膨張率がどれくらいかも計測したいですし。なにより、大切なのは勃起時のサイズです。私の膣は恐らく平均の範囲ですが、兄さんが巨根だったケースも想定しませんと)
 迅が入浴や着替えをしてるところに乱入した際、ちらっと見たことはあるが、当然、エレクトなどしていない。これまで何度も迅がオナニーしてる現場に踏み込もうと画策したのだが、ガードが厳重で、いまだ勃起状態のペニスを見たことはなかった。
「どうした、急に真剣な顔して」
「いえ。兄さんは興味深い研究対象だな、と改めて考えてました。天才の私を飽きさせることなく惹きつけ続けるんですから、誇っていいですよ」
「そうかぁ? 俺、ごくごく平凡な人間だぞ? あー、中央値に近いって意味では、データ的に意味があるかもな。お前はかなり特殊だから、自分を基準にはしづらいだろうし。……いや、ホント、普通じゃないもんな、うちの妹は」
 今度は、迅が特殊ケースである結衣をじっと見つめてきた。愛しい異性に向けるまなざしというよりは、どこか残念なものを見る目だった。その点は嬉しくないが、兄に見つめられ身体が熱くなった結衣は、もぞもぞと太腿を摺り合わせる。
(ふふっ、兄さんったら、妹を視姦ですか? いいですよ、いくらでも結衣を目で犯してください。いえ、その股間のモノでダイレクトに犯してくれてもかまいません。なにしろ私はメイドで、兄さんはご主人様なんですから)
 結衣は元々、兄の視線に対して敏感だったが、この露出度の高いメイド服を着るようになって以降は、見られるだけで下腹部が熱を帯びるほど過敏になっていた。
(あっ。あっ。今、ぞわぞわってしました。控えめに言って、私、発情してますね、これは。さっきのが残ってるのかもしれません)
 オナニーアクメの余韻の影響だろう、これまで経験した以上の興奮が処女メイドの全身を駆け抜けた。
「ん? 結衣、どうかしたか? 顔、赤いぞ?」
「…………」
 結衣は応えず、両腕で自分の身体を抱き、まだまだ成長中のバストを持ち上げる。かなりの部分が露出した柔乳が揺れるのを見て、迅が慌てて横を向いた。こちらを向いた耳と頬は、結衣よりも赤い。
(照れた兄さん、可愛い。ホントは妹のおっぱいに、女体に興味津々、性欲ムラムラのくせに、理性で必死に抑え込んでる健気さもエクセレントです)
「結衣はもうちょっとその、自分の魅力とか可愛さとかを意識すべきだぞ。俺はほら、兄貴だからともかく、他の男の前では危ないからな?」
「魅力とか可愛さについて、追加説明を要求します。具体的な例を挙げてもらえると、私の理解も進むかと」
 要するに、「もっと私を褒めて」というおねだりである。
「はあ!? お、俺にそういうのを求めるなよ。お前以外の女子とろくに話した経験もないんだからさ」
(知ってますよ。兄さんが私以外の女と物理的精神的に接近しそうになるのを、全力で妨害してきたのは結衣なんですから。妹として当然の義務です)
 独占欲の強い妹は、狼狽する兄の姿を見て、にんまりと笑う。
(んふふ、慌てる兄さん、可愛い。少しは見栄を張ればいいのに、妹に対して正直に自分の女性経験の少なさを白状しちゃうところも素敵です。でもまあ、安心してください、私がたっぷりと女のサンプルとなってあげますから)
「さあ兄さん、早く教えてくださいよ。自分のどこが魅力的で可愛くてセクシーなのかがわからないと、結衣も対策できませんから」
 結衣は迅に向かって前屈みになり、胸を露骨にアピールする。二の腕で中央に寄せられ押し潰れた柔肉に、メイド服のヒモが扇情的に食い込む。
「ど、ど、どこって言われても」
 目をあちこちに泳がせる迅に向かって、結衣は半歩前に踏み込む。指で長い髪を掻き上げながら、鼻が接するほどの距離まで顔を寄せたそのとき、アクシデントは起きた。
「きゅぴ!?」
 結衣が前屈みになったためだろう、モルダが珍しくバランスを崩して肩から落ちそうになったのだ。
「モルダっ!」
 結衣が驚き硬直する中、迅は咄嗟に手を伸ばし、モルダのぷりっとした尻を受け止めることに成功した。
(え……ええっ!?)
 愛するペットが無事だったと安堵した直後、結衣は大きく目を見開く。普段は常にフル稼働している脳が、機能停止に陥るほどの事態が起きたのだ。
(キス……私と兄さん、今、キスしてます……!?)
 たまたま至近距離にあった互いの唇が、見事に重なっていた。あまりに見事な角度だったので、一瞬、これは事故ではなく、兄がキスしてくれたのかと錯覚したほどだ。
「……!? すすっ、すまん! わざとじゃないんだっ!」
 しかし、ほんの一秒か二秒で迅の顔は高速で遠ざかる。唇に残ったわずかな感触だけが、結衣のファーストキスの余韻だった。
「…………兄さん」
 脳細胞はすぐに活動を再開し、ここからの行動の最善手を導き出した。このとき結衣が想定した選択肢は百近くに及んだが、実際の思考時間は数秒でしかない。天才と称される結衣だからこその高速演算であった。
「驚きましたよ、兄さん」
 結論に見落としはないか念のため脳内で再検討しつつ、結衣はぐっと身を乗り出す。先ほど迅が後方に飛び退いたのとほぼ同じだけ距離を詰める。当然、二人の顔、唇はキスしたときと変わらぬ近さになる。
「わ、悪かった」
 迅が、また退く。それを追って結衣が距離を詰める。これを数回繰り返した結果、迅の背中が部屋の壁にとん、とぶつかった。勝ったな、と結衣は笑いたいのを懸命に堪え、シリアスな表情をキープする。
「悪い? なるほど、すなわち兄さんは己の罪を認めるわけですね。自白ですね」
「つ、罪? 自白?」
「穢れなき乙女の唇を強引に奪ったんです、相当な重罪と言わざるを得ません」
「たっ確かに悪いとは思う。でも、わざとじゃ」
「故意かどうかはこの際、どうでもいいです。結果が全てです。そして、兄さんは謝罪しました。つまり、自白です」
「……うん。そう、かも」
 結衣の勢いに押されたのか、本当に深刻に感じてるのか、迅が力なくうなだれる。
「今、兄さんは故意ではないと言いました。ホントですか?」
「ああ、誓って」
「では、重ねて質問します。私への恋は、いかがなんですか?」

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