催眠清規

【北条こころ・無意識発情編】

著者: 愛欲ほねね

電子版配信日:2024/03/22

電子版定価:880円(税込)

「さわって、くれませんか? からだが、へんなんです……」
押し寄せる魔悦を必死で堪えるスクールカウンセラー・北条こころ。
無意識発情、感度操作、時間停止、常識書換、自我改変……
催眠の力の全てを使って、こころの全てを理解して、全てを奪い尽くす。
彼女を支配した先に、南マイ、東方すのう、西武レイン――新たな獲物が!
催眠から始まる俺の青春――本格マインドコントロール学園劇、開幕。
WEBで長年愛されているMC小説に、渾身の2.5万字超の限定書き下ろし収録!

目次

第一話 北条こころ 導入編

第二話 北条こころ 無意識喪失編

第三話 北条こころ 発情奴隷化編

第四話 北条こころ 時間停止編

第五話 南マイ 導入編

第六話 南マイ 快楽椅子編

第七話 南マイ 優遇接待編

第八話 北条こころ 忠犬駄犬化編

第九話 南北 御泊会入浴編

第十話 東方すのう 導入編

第十一話 東方すのう 時間遡行入浴編

第十二話 東方すのう 遊戯罰則編

第十三話 東方すのう 敗北凌辱編

第十四話 東方すのう 淫乱成長編

第十五話 南マイ 日常処理係編

第十六話 東南 晒恥辱授業編

第十七話 北条こころ 実践性教育編

第十八話 南マイ 性行為礼儀編

第十九話 東方すのう 凌辱受入要求編

第二十話 南マイ 性技鍛錬編

第二十一話 西武レイン 導入編

第二十二話 西武レイン 偽逆強姦編

第二十三話 西武レイン 性友達編

書き下ろし一 南マイ 柔軟体操編

書き下ろし二 東北 忠犬対狂犬編

書き下ろし三 西武レイン 睡眠調教編

書き下ろし四 北条こころ 遅効性凌辱編

本編の一部を立読み

第一話 北条こころ 導入編



 催眠術を手に入れた。
 きっかけは一昨年亡くなった祖父の納屋が火事にあったことから始まる。
 誰も管理するものがいなかったからか、冬の乾燥した気候が災いしたのか、とにかく突然出火した納屋は全焼。中にあったガラクタやら農具は全部燃えてしまった。
 実家住まいでもなかったため巻き込まれることはなかったが、焼け跡を確認するために家族で現場に立ち会った。
 その時に、焼け跡の中で偶然光るものを見つけた。
 どうして光ったのかとか、その火事で灰にならなかったのかはわからない。
 それに警察や消防だってこの場所をしっかりと調べたはずだ。
 なのに俺だけが偶然それを発見して、手に入れてしまった。
 両親にも打ち明けず、持って帰る時にも車のトランクにこっそりと紛れ込ませた。
 その中に入っていたのが、催眠術のやり方を教える教本だった。
 俺自身も最初こそ半信半疑だったが、両親にかけるのに成功した時は高揚を隠せなかった。
 これがあれば、好きなことができる。主に女性に対して。
 俺は半年を費やしてこの本の全てを学び、今こそ実行に至る。



 私立冷菜学園、進学校と銘打ってはいるが学力は中の上くらい。そんな学校。
 一年生の俺は今その学校の廊下を、目的地へ向かって歩いている。
 催眠術を手に入れたものの、彼女はおろか女性の知り合いもいない自分はまず考えた。
 どうやって女性を催眠にかけるか。
 自分の持っている催眠術は万能じゃない。
 一度導入してしまえばそれこそ何でも可能な夢の能力だが、そこまでが大変なのだ。
 少なくても十分以上、催眠の暗示をかける時間が必要になる。
 しかも俺とその相手が二人きりであることが必須条件だ。
 隣で茶々を入れられればそれで暗示が効かなくなってしまう。
 妨害が入らず、女性と二人だけになれる状況を作る。
 これが最初の難関だった。
「あってうれしい」
 その問題も、何とかクリアできる見積もりができた。
「メンタルケア」
 俺が今いるのは、冷菜学園新棟、その一階にある技術室の隣、普段なら掃除でもしない限り足を踏み入れないような廊下の先にそれはあった。
 生徒相談室。カウンセリングルーム。
 進路や人間関係で悩む生徒たちに設けられた場所だ。
 予約すれば誰でもこの部屋に入ってカウンセリングを受けることができる。
 ここでなら、誰にも邪魔されることなく二人きりになる口実ができる。
 カウンセリングの人を催眠で操れれば完璧だ。
 しかも相談する生徒をわかりづらくするためか、ここに来るまでの道のりはほとんど他人には見えないし、部外者も入りにくい構造になっている。
 まさにおあつらえ向き。
「叩きます」
 既に予約は済んである。
 この教室の前にある投票箱みたいなのに生徒名と希望する時間帯を記入すればいいらしい。
 こんこんと、控えめにノックをする。計画はしてきたが、緊張するのだ。
「どうぞ」
 ドアの中から返事がくる。
 女の声だ。カウンセリングの人は女性みたいだ。
「どうも」
 とりあえずノブを回して部屋の中に入る。
 部屋の中を一言で述べるのなら、清潔だった。
 埃一つなさそうな空間に、校長室でしか見たことのないようなフワフワしてそうなソファーが二つある。その間には上品な机が置いてあって、雰囲気は応接間のようだ。
 周りにあるのは本棚と小物入れくらいで、ちょっと部屋の中が広く感じる。
 ここが、俺の計画実行地……の予定になる場所だ。
「来てくださって、ありがとうございます」
 その部屋の中心にいたカウンセリングの人が口を開いたのだろう。
 鈴を鳴らすような、透き通った声が聞こえた。
 俺は思わず肩に力が篭り、そして見惚れてしまう。
「こんにちは」
 にこりと、首を傾げて笑うそのカウンセリングの女性は、美しかった。
 見た目からすると大学生くらいだろうか、大人びているがまだ若さが抜けきっていない感じがする。整った女性用スーツは露出が少なく、それが逆にスカートから見えるふとももや指を一層色っぽく見せている。
 黒いストレートロングはさらさらで、満員電車の中にいたら手を伸ばしてしまいそうなほどだ。
「……? どうかしました?」
「あ、いえ、女性だとは思っていなかったので」
 カウンセリング専門の人がこの学校にいることは知っていたが、誰とまでは考えてなかった。
 自分の悪いクセだ。ところどころで詰めが甘い。気を引き締めなければ。
「そうですか、やっぱり生徒の皆さんは知らないのですね」
「いえいえ」
「自己紹介させていただきます。北条こころといいます」
 こころはちょっとだけ残念な顔をしたあとで、改めて俺にお辞儀をする。
 上品に頭を下げて、髪が頬に垂れているのが色っぽい。
 俺も簡単な自己紹介だけしたら、着席を勧められた。
「カウンセリングルームと銘打ってはいますが、相談内容はそこまで深刻な悩みじゃなくてもいいんですよ。気軽にきてくれて構いませんから、あなたも力を抜いて」
「は、はい」
 着席しながら、向かい側に座っているこころを見る。
 近づいたせいか、更に緊張が高鳴った。
「お茶を入れるわね、なにがいいかしら」
「落ち着くやつでお願いします。好き嫌いはありません」
「ふふっ、じゃあお勧めの紅茶にしますね」
 こころは席を立ち、背中を見せてティーカップのある場所へと歩いていく。
 俺は座ったままその後ろ姿、主に下半身を眺めていた。
 黒タイツを穿いた両足はすらりと曲線を描き、その上の小さなお尻をしっかりと支えている。ティーカップを引き出しから取り出そうとしたとき、身体をかがめたためスカート越しからもヒップのラインが見て取れた。
「うん、よしっ」
 こころがこちらに振り向こうとしたので慌てて背筋を伸ばす。
「どうぞ」
「丸いですね」
 ちょっと緊張のせいか、あまりいい受け答えができない。小さくて丸いなこのカップ。
 こころは落ち着いたまま自分の分の紅茶を飲んでいる。
「……」
 そして待っている。たぶん、俺が話題を切り出すのを。
 カウンセリングとはいえ、相談をすぐには聞き出さないみたいだ。
 まあ慌てて喋ってくれるようなものじゃないと思うけど。
 俺は周りを見渡して、時計にちょっとだけ視線を移す。
「えっと、相談時間はどれくらいあるんですか?」
「今日は誰も予約していないので、特に決めていませんよ」
「じゃあ、途中で他の人が入ってきたりは……」
「大丈夫です。なんでしたら、鍵をかけましょうか? この部屋は防音もしっかりしていて、私以外には誰もあなたの話を聞かれませんよ」
 こころは優しく微笑みかけてくれる。話しているだけで安心してしまいそうだ。
 でも、たぶんカウンセリングの人がここまで美人だと、ほとんどの生徒は知らないはずだ。
 何か理由があるのかな。
「えっと、じゃあ、いいですか」
 違和感はあるが、それを含めての勝負だ。
 俺は口が震えるのを必死に抑えながら、行動に出た。
 こころは、それが俺の不安か何かだと思っているのだろう。疑問に思っても追及はしない。
 カチャリと、鍵をかける音が響く。
「あの、相談する前に、すこしだけ北条さんに心理テストみたいなものをしてもいいですか?」
「心理テスト……ですか」
「すみません、北条さんがどういう人かわからなくて、相談するにも信用していいかどうか、心配なんです」
 切り口は上々だ。
 カウンセリングの人を試すという口実で、催眠導入を始める。
 万が一失敗したり、カウンセリングの人が催眠を知っていたりしたのなら、試したからと言い訳ができる。
「ええ、構いませんよ。いくらでも試してください」
 こころは可愛くガッツポーズを決めて、快く了承した。
 この善意に入り込むことができる。
 罪悪感よりも高揚感が勝っていた。
「では……これを見てください」
 俺は鞄の中から一本のボールペンを取り出した。
 こころは特に疑問を持たず、そのボールペンを見つめてくれる。
「こうですか?」
「いえ、もう少し先にある、そうボールのところです。できる限りしっかりと見てください」
「周りになにか……描いてありますね」
「はい、それをしっかり把握してください」
 このボールペンは、俺の汗水の結晶でもある作品だ。
 ボールペンの先に自作した絵が描いてある。
 絵は祖父の本に書かれてあった催眠術の導入に使う見本を自分なりにコピーして作ったもの。
 この絵をじっと見ていると、だまし絵のように数パターンの形が見て取れる。
 こころはその絵が何かを把握しようとする。
 だが、はっきりとした形があるのに、何の形だか判別できない。
 それが、こころの集中力を引き出し、目を疲れさせる。
「なんだか……変な形をしていますね」
「しっかりと把握してください。どんな絵が描かれているのか」
 疲れても、こころは絵から目を逸らさなくなっていく。
 判別できない絵を知ろうと必死になってくれた。
 真剣にやってくれている。ありがたい。
 だから成功する。
 俺は彼女が適当な判別を下さないよう、気づかれない程度にペンを回す。
 そうすることで更に絵の形が変わるのだ。
 そうして彼女を更に集中させたら次の段階に移行する。
 ペンを左右に揺らした。
「……」
「…………」
 何も言葉を投げかけない。こころはそのまま正直にペンと同じ揺れに従う。
 俺はできるだけ物音を立てないよう、静かに手を動かしていく。
 こころはどんどんと目だけに意識を集中させていく。
 カウンセリング室が静かなのは、俺の催眠にとって朗報だった。
 思っていた以上に時間がかからない。
 人に暗示をかける上で、五感を制限する方法がある。
 この場合は目以外の感覚をできる限りシャットアウトする。
 そうすることで、その一つの情報により浸透させやすい状況を作れるのだ。
「…………」
 だんだんと、ペンの揺れを大きくする。
 といっても、彼女の目で追える範囲に限る。大きな動作はまだよくない。
 俺はずっと、こころの目を見ていた。
 瞬きをしているか確認しているのだ。
 最初のうちは自然と瞬きをする。人間として当然だ。
 でもこの導入を行ってしばらくすると、一分以上経っても瞬きをしなくなっていく。
 剣道の選手が試合に集中して瞬きをしない現象があるが、あれと同じだ。
 だんだんと、このペンのことだけにとらわれていっている事を確信できる。
 俺は腕時計の秒針が一周したのを確認する。
 あまり待ちすぎると、彼女は三分だろうと瞬きを忘れてしまうだろう。
 頃合いだ。
「……だんだんと、瞼が重くなっていきますね」
 俺はできるだけ、わざと小さな声で囁きかける。
 ペンを下に振り、ゆらりゆらりとおちていくイメージを相手に与える。
 こころは返事をしない。だがその言葉を鵜呑みにしたかのように、瞼が重く、閉じていく。
 たぶん、彼女は今心の奥底、深層に向かっている。
「はい! では開いてください」
「……え、あれ」
 俺はそこで、はっきりとした声でこころを起こした。
 こころは何が起きたのかまだ理解していない。
 だが次第に、平静を取り戻していく。
「えっと、心理テストでしたっけ」
「はい、もう終わりました。結果もでています。北条さんはとても信頼できると思います」
「そうですか、では……」
 こころはぱあっと嬉しそうな顔をして、両手を合わせる。
「………………」
 その時を狙って、もう一度ペンを前に向けた。
 一度意識を浮かばせて、そこから落とす。
 安心した瞬間こそ人間が一番油断する時なのは常識だ。
 そうすることで、より簡単に、更に深くまで彼女の意識を落とすことができた。
 今度は言わなくても、瞼を落として目を閉じてしまう。
「……目を、開いてください。時折瞬きもしてください」
「……」
 今度は覚醒させないよう、静かな声で指示した。
 耳に入ってくる言葉をそのまま受け入れて、こころは目を開いた。
 他人に右だと言われて右を向くのと同じような反射行動だ。
「……」
 目を開いたこころの瞳は、どこも見ていないように彷徨い、虚空を見つめていた。
 肩をだらりと脱力させて、倒れないのが不思議なくらいに体から力が抜けている。
 成功した!
 俺はこっそりとガッツポーズを決める。
 この段階まで来ればほぼ成功なのだ。
 彼女は今、心の一番深い場所にいる。
「あなたは今、一番心地よく、気持ちのいい状態です。全ての痛みから解放され、何の苦しみもありません。とても幸せで、ずっとこの状態でいたいと思うようになります」
「……」
「そして、俺の指示に従うことで、この状態を保つことができます。何故なら、俺がここに来たから、あなたはこの状態になれたのですから……」
 こころは返事をしない。
 しっかりと暗示が効いているかどうか気になるが、これは仕方ない。
 だから、わかりやすくする。
 この指示が通ったのなら、彼女は俺の指示に従うはず。
「これから俺の話すことには、必ずはいかいいえで返事をしてください。わかりましたか?」
「…………はい」
 返事が返ってきた! よし、よし!
 できる限り失敗しないよう、ゆっくりと進めていく。
 初陣に焦りは禁物だ。
「今の状態は、とても気持ちのいいものですか?」
「……はい」
「あなたはいつもこの状態になっていたい」
「はい」
「では……これから普段の時も、俺の『一緒に遊びましょう』という指示を出された時、あなたはいつでもこの状態になることができます。他の誰でもない、俺の口から出た言葉にだけ、そうなることができます。俺がいないと、この状態になることはできません」
「…………はい」
「そして、この素晴らしい状態の時の記憶は思い出すことができません。でもここで言われたことは全て心の奥底に眠っていて、ここで言われたことは必ず行動しないといけません。そうすれば、この状態がもっと楽しく、素晴らしいものになります」
「……はい」
 よし、ここまでは順調だ。
 あとは仕上げ、俺はこころの身体に近づく。
「……」
「……ん」
 無防備なこころの表情に唾を飲むが、まだ手を出してはいけない。まだわからない。
 カウンセリングだ。ひょっとしたらなりきってくれる可能性も捨てきれない。
 俺はおもむろに手を伸ばして、
「……」
 ぎゅっと、思い切り彼女の頬をつねった。
 痛覚で催眠が目覚めるかどうか、演技かどうかを確かめる。
 この催眠はここまでくれば痛覚で目覚めるほど甘くはない。両親はそうだった。
 それに今ならまだ、演技だったとしても、試したんですよで済ませられる。
「……」
 解けなかった。
 こころは頬を赤くするくらいにつままれたはずなのに。反応しない。
「成……功だ」
 初成功。俺は言葉で自分の嬉しさを湧き上がらせる。
 しかも、この初成功には嬉しい誤算があった。
 最初はアジトとして使うだけのカウンセリングルームの、都合のいい使用人程度にしようとしていたカウンセラーが、美女なのだ。
 俺は初成功と同時に、初めての収穫を得た。
 欲望のはけ口を、手に入れてしまった。
 確信する。夢のような人生の始まりを。
 俺の最高の人生を切り開いてくれる催眠術に、感謝を。

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