本販売日:2002/10/23
電子版配信日:2009/01/23
本定価:576円(税込)
電子版定価:660円(税込)
ISBN:978-4-8296-1145-6
「私はお兄さんと結婚するのよ、もうやめて!」
麻美からの哀願をよそに、拓也は牡の昂りをぶち撒けた。
かつて処女を奪い、今、兄の婚約者として再会した彼女。
どうして自分でなく、兄になど身体を許させようか……。
美人婚約者の身も心も未来さえも穢しながら、拓也は叫んだ。
僕は麻美さんのすべてを支配しつづけたいんだ!
あさみ(24歳)婚約者
本編の一部を立読み
やったぞ! 勝利の歓喜が、全身をつらぬいた。
ぼくは今、兄貴の恋人にフェラチオさせてるんだ……。
麻美の冴えざえとした美貌の目尻に、くやし涙がにじんでいた。それは敗北の涙だった。
舌がおずおずという感じで分身に触ってきた。
ほんのわずか舐められただけで、はじけそうなほどジンジンとうずいた。亀頭はいつにもまして、敏感になっていた。
彼女の髪をつかんだまま、腰を前に突きだした。朱唇の奥に、分身を押しこんでいった。
「むぐっ……」
麻美がうめき声をあげた。ひどく苦しそうな表情だった。
舌が逃げ場を求める小動物のように、チロチロと動いた。亀頭の裏側や茎を這いまわった。ぎごちない動きだった。
そのぎごちなさがよけいに刺激的だった。腹の底が蠢動するような鋭い刺激に、拓也の腰はひとりでに揺り動いた。
オナニーなどとは較べものにならない強烈な快感が衝きあげてきた。
すさまじい陶酔の渦に巻きこまれ、体がガクガクと揺れた。
膝が崩れそうになり、本棚に手を当てて支えた。体の揺れとともに、棚もガタガタと音をたてた。
麻美の口には、ぬらぬらとのたくる蟲が棲みついているようだった。それが分身に絡みつき、くすぐってくる。快感で腰がとろけそうだった。
彼女が息を吸うと、ジュルジュルと音がした。唾液が出てくるのは意思とは無関係の生理的反応だ。しかしそれによって、フェラチオされているほうの快感はさらに高まる。
亀頭の裏側などの敏感な部分に舌を這わされると、強い電流が全身を駆けめぐった。尿意に似た昂りが、耐えられないほど強まってきた。
なんて気持ちいいんだ、と拓也は思った。オナニーなどとは較べものにならない。 この快感は決して肉体的なものだけではないとわかっていた。
兄の恋人に奉仕させているというサディスティックな優越感。明智光秀が本能寺に攻め入ったとき、あるいはブルータスがシーザーに暗殺の刃を向けたときにも、これと同じ昂りがあったのではないだろうか。
それに加えて、この場をだれかに(特に兄に)見つかったらというスリル。麻美がなかなかおりてこないので、いつ呼びに来るかもしれない。
麻美が口を休めると、つかんでいる髪を引っ張った。それほど強くではない。それでも舌はぎごちなく動きだす。快感が高まる。
拓也の背中がのけぞった。目の前が白くなって、視界がぼやけた。
まだだ。まだイクわけにはいかない……。
へその下に力をこめて、マグマの噴出を押しとどめようとした。