【2018年12月13日】

羽目鳥さんは撮られたい!出だし公開!

18日配本で予約受付中!

 

「先生、先生! 今のうちですよ!」
辺りをきょろきょろと見回して、目の前の少女が嬉しそうに手招きする。
制服姿の彼女の手には卒業証書を入れた細長い筒が握られていた。過ぎた時間の早さに、俺は思わず笑ってしまう。
「本当に撮るのか?」
彼女の装いからわかる通り、今日は大事な卒業式。生徒だけでなく、そのご家族もたくさん足を運んでいる。
「当たり前でしょう! 一生に一度の卒業式ですよ! ほらほら、今がチャンスです!」
焦ったように、当たり前のように、早く構えろとジェスチャーしてくる。
首から下げた一眼レフはいつもと違い、今日は校内で隠す必要はない。
「わかったわかった。撮ればいいんだろ」
カメラを構える。レンズの中には、満面の笑みを浮かべる彼女の姿。
満足そうにふんぞり返って、笑顔でボタンを外し出す。ブラウスから出てきたのは、見るもたわわな大きな胸だ。
「ふふふ……この白昼堂々って感じがたまりませんねぇ」
彼女の顔が不敵に笑う。少し前に屈んで、ブラのホックも外していく。「いいから早くしろ」と視線を向ける俺の顔を、彼女は本当に愉快そうに見つめてきた。
「はいはい、これでいいですか?」
ニヤニヤと笑いながら、彼女がブラウスを左右に広げる。
器用にピースを作りながら。右手に証書を、左手には下着を。当たり前のように、校門に向かって足を上げる。そのせいで、短いスカートから白いショーツが丸見えだ。
「おいおい。校門に足をかけるな」
「いいじゃないですかぁ最後くらい。ほら、早くしないと人来ちゃいますよ?」
小憎らしい顔を向けて、彼女がシャッターを急かしてくる。
仕方なく、俺は言われるがままにレンズを覗いた。
「じゃあ、撮るぞ」
シャッターを切る。被写体は、俺の教え子。
ああそうだ。彼女は俺の――。

第一章

 

 

目の前の胸が目に入った。
白い制服のブラウスからうっすらと透ける下着。しかしそんなことよりも、彼女の大きな胸の存在感に、俺は思わず目を逸らした。
「……先生、ちゃんと私の話聞いてます?」
少女が呆れたように聞いてくる。俺はわざとらしく逸らしてしまった視線を無理やり彼女の方へ戻すと、平静を装いながら口を開いた。
「聞いてるよ。当たり前だろ」
「むぅ、本当ですかぁ? 怪しいなぁ」
身を乗り出しながら、彼女……羽目鳥ミヅキは俺の顔を覗き込んできた。その衝撃で羽目鳥の大きな胸が柔らかそうに揺れ、俺は再び視線を逸らしてしまう。
「活動の話だろ? 今年は結局、君しか入ってこなかったから。合宿みたいな大規模なイベントは無理だよ。写真は一人でも撮れる。いいぞー写真は、勿論俺も教えるし」
「えー、そんなぁ。せっかく写真部に入ったのにぃ。部費で温泉とか行きましょうよぉ」
黒い二つ括りがぴょこりと揺れる。ツインテールと呼ぶには小さな黒髪は、可愛らしくも残念そうな彼女の心境をよく表していた。

羽目鳥ミヅキ。
出席番号二四番。可愛らしい顔の、学年ではちょっとした有名人。

なぜ彼女が有名かって?
別に、成績がトップなわけでも、スポーツで全国大会に出場してるわけでもない。勿論、タレントやアイドルってわけでもない。
彼女が有名な理由、それは――
(それにしても、マジで大きいな)
机の上の乗せられた彼女の胸を、俺はちらりと盗み見る。カップ数なんて、男の自分にはもはや推測すらできない。
放課後の部室で、新入生と二人きり。いくら教師といっても、普通はあり得ないシチュエーションだ。こんなことになっている理由は、ひとえに自宅学習の意欲が大変旺盛な幽霊部員たちのおかげである。
「部活って最低五人はいないとダメなんじゃないんですかー?」
「そうだな、だからちゃんと居るぞ。幽霊部員の先輩たちがな」
ちらりと羽目鳥の顔を盗み見る。くりんとした目が特徴の、十人中十人が可愛いという美少女。そんな顔の下にあんな凶悪なものがついているのだ。天は二物を与えずってのは嘘っぱちである。
「君も幽霊部員になってくれれば、いっそ俺の放課後の時間が空くんだがね」
「うへー、それって職務放棄ですよ。先生、こんな可愛い女子生徒の純粋な願いを叶えたくないんですか?」
懇願するように、うるうると羽目鳥が手を合わせる。両腕に押された胸が強調され、ただでさえ凶悪な胸がさらにヤバさを増していた。
(……やっぱデカいな)
正直、今まで目にした生徒の中では一番だ。グラビアでもなかなかお目にかかれない大きさが、小さな身体に備わっている。
「だから、真面目にカメラやるつもりなら教えるぞって。いくつか貸し出し用のもあるし。わくわくするぞ、何気ない風景に草花……いつもの通学路が煌めく被写体に早変わりだ」
胸への視線を誤魔化すように、俺は部室隅の段ボールを指さした。型落ちだが初心者用にしてはなかなか使い勝手のいい名品で、やはりカメラは一眼に限る。
「別にいいですよ。写真撮るならスマホがありますし」
「スマホって……くそ、これだから最近の若者は」
ポケットから取り出された最新機種に、俺は唇を尖らせた。それを見た羽目鳥がくすりと笑う。
別にスマホが悪いとは言わない。事実、写真を撮る人の人数は増えたと思うし、趣味とまではいかなくとも何気ない日常を記録する人も増えただろう。
「でもなぁ、やっぱなぁ。写真部でなぁ。スマホってのもなぁ」
「あ、そういうのも偏見ですよ。弘法筆を選ばず。いい写真はスマホだろうが一眼レフだろうがいいんです」
新入生から正論を言われ言葉に詰まる。ぐぬぬぬと眉を寄せる俺を、羽目鳥はケラケラと勝ち誇った笑みで見つめた。
「そんなに言うんだったら、当然いい写真とやらも撮ってるんだろうな? 見せてみろ」
「えっ?」
ぶすっと右手を差し出す俺に、羽目鳥は目を丸くした。なにやら慌てたように、しどろもどろに言葉を紡ぐ。
「え、えーと。別に私が撮ってるわけじゃないっていうか。あくまで一般例というか」
ぎこちなく笑う羽目鳥をじぃと見つめる。ほら見ろと睨んでいると、今度は羽目鳥がむっと眉を寄せた。
「ていうか、女子高生の画像フォルダを見せろとかセクハラですよ、セクハラ」
「うぐっ、確かに」
完全に論破されてしまった。これ以上は確実に負け戦なので、不本意ながら渋々と矛を収める。
ふふんとドヤ顔で胸を張る羽目鳥の表情は小憎らしいが、強調されたブラウスのボタンが今にもはち切れそうで、俺は慌てて視線を逸らした。
「……というより、じゃあなんで写真部入ったんだよ。幽霊部員ってわけでもなく、毎日部室には来るしさ」
おかげでこっちは無駄な残業が増えている。ただでさえ苦労の多い教職。正直言って、相手が美少女という役得がなければ御免被りたいところだ。
「なんでって……そりゃあ一緒に楽しみたいからですよ。なんならモデルも辞さない覚悟です」
「へぇ、モデルねぇ」
どんと胸を叩く羽目鳥を俺は見つめた。
それなら幽霊部員も戻ってきそうだ。そんなことは勿論しないが、羽目鳥の写真が撮れると宣伝すれば、我が部の部員数はベビーブームの時代を越えて過去最高を記録するだろう。無論、男女比率は九十九対一である。
「先生、撮ってくださいよ」
「馬鹿言え。できるわけないだろ」
名案だと手を重ねる羽目鳥に、俺はひらひらと手を振った。
昨今の教師を取り巻く視線は厳しい。学年でもとびきりな美少女と、二人きりの部室での撮影会。なにを言われるかわかったものではない。
「そんなに言うなら、先輩に声をかけてやろうか? 女子部員が入ったって言えば、数人くらいは顔を見せると思うぞ」
「むぅ……それは別にいいです」
気を利かせたつもりだが、羽目鳥はむすっとした表情でそっぽを向いた。先ほどは部員がいないと怒っていたのに、よくわからないやつだ。
ただ女子生徒の気分など気にするだけ精神と時間の無駄なので、俺はポケットからスマートフォンを取り出した。さっきはああ言ったが、暇潰しをするには重宝する代物だ。
というより、なにかで気を逸らしていないと目の前の胸が気になって仕方がない。
「あーあ、なんか楽しいことありませんかね」
「残念。大人になるともっとないからな。覚悟するといい」
机に突っ伏している羽目鳥の視線をスルーして、俺は本日のログインボーナスを取得する。勿論、潰れて広がっている胸には気づかない振りをして。
暇潰しのソーシャルゲーム。面白いかと問われれば、考えるのも面倒くさい。
夕日差し込む小さな部室で、俺はただただ下校時刻が訪れるのを待っていた。


「とはいえ、大人ってのはいいものですよ」
コンビニで買った缶ビールを飲み干しつつ、俺は繁華街を歩いている。
明日の授業の準備もほどほどに、やってきた場所はいかがわしい気配漂う黄色い本屋だ。
「あんなもん見せられると、ムラムラしていかんな」
性欲は適度に発散させなければならない。目の毒という言葉があるが、教師にとってあの顔と身体は文字通り身を滅ぼしかねない毒である。
なにせ、小柄な身体にあの凶悪なボディだ。胸だけでなく尻も太股もムチムチとしているあの肉体は、どう考えても男を誘惑しているとしか思えない。
「へぇ、投稿自身……たまにはこういうのもアリだね」
目についた一冊のエロ本を手に取った。中身はわからないが、素人投稿型の雑誌らしい。専門店ならではな品ぞろえに、ふむとそれをレジに運ぶことにする。
古くさい話かもしれないが、個人的にはエロは紙の本がいい。理由など特になく、俺はそちらの方が抜けるのだ。
「外れ買うのもまた一興ってね」
そんなことを言いながら、俺は丁寧に包まれた黒いビニール袋を片手に、意気揚々と帰路につくのだった。


二時間後、夕飯も風呂も済ませた俺は、最後の日課を終えようとして眉間にしわを寄せていた。
「こ、これは……?」
目の前には、一人の少女の写真がある。
いったん落ち着いて表紙に戻った。こんな本の中に載っているのだ。その写真の少女は、当然ながらいかがわしい仕上がりで微笑んでいる。
掲載されている他の写真に比べれば、ささやかな可愛らしいものだ。マンションの非常階段だろうか。そこで恥ずかしそうに笑う女の子が、まくった上着から放漫な肉体を晒している。
「いや、まさかな」
審査員特別賞。言い換えれば『もう少しがんばりま賞』だ。理由は至極単純で、彼女が下着姿だからである。
しかしそこに寄せられた編集部のコメントは好意的で、その理由も単純なものだ。
こんなにいい身体の女の子、載せないなんて選択枝は存在しない。
「……違うよな?」
低身長ながら、グラビアでもめったにお目にかかれない乳房。ちょこんと跳ねた黒髪の二つ括りは、あどけない学生らしさを伝えてきている。勿論、顔は手のひらで隠れていた。
けれど、似ている。
誰にって? 今日二人きりで話した生徒にだ。
「いかんな。気が緩みすぎてる」
俺はふるふると頭を振った。こんな雑誌を、現代っ子の彼女が知るはずがない。
エロ本に写る女性が担任する生徒に見えてくるなんて。末期症状もいいところだ。
「ん?」
心の中で羽目鳥に謝っていると、写真の隅に気になる文字列を見つけた。
そこには、@から始まるいくつかのアルファベット。どうやら写真の少女のアカウントらしい。
「……うお、本当にあった」
某アプリで検索をかけると、すぐにヒットした。鍵がかけられていて、どうも見るには向こうの申請許可が必要なようだ。
「い、一応。念のため」
申請のボタンを押してしまう。もしかしたら、愛する生徒がいかがわしい活動をしているかもしれないわけで、教師としては確かめないわけにもいかない。
「だめだ、やっぱり早く寝よう」
いつ来るかもわからない申請許可を待ってなどいられない。写真の少女が頭の中で彼女の顔に変わってきて、俺はそれを振り払うように布団の中へと潜り込んだ。
「くそっ、可愛い子なんて担任するもんじゃないな」
一瞬、ティッシュへと伸ばしかけた手を諫めつつ、俺はぎゅっと目を瞑る。幸い、日々の疲れか眠気はすぐに襲ってきた。
急速に朧気になっていく意識の下で、携帯がアプリの通知音を響かせる。それをどこか遠くに聞きつつ、俺は微睡みの中へと溶けていった。

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