【2020年8月27日】

いもうとはGALかわいいプロローグ&第一章

わかつきひかる&犬江しんすけコンビが贈る、アナタを応援する青春ラブコメ!

どんな鬼ヤバなHも――梨乃は〈おけまる〉だよ♡

暴行まがいの大失敗から、征服感満載の初体験へ!
正座でMフェラ奉仕! 専用宣言で落書きプレイ!
お尻の山をぐいと開き、かわいくおねだりまで……
こんなにも優しく、なんでも叶えてくれるギャル妹。
小説家になる夢も、梨乃とならきっと実現できる!

プロローグ&第一章はこちらです!

ぜひご予約も

プロローグ
「水沢さんが、仲間になりたそうにこちらを見ている」
 友達の青木がそう言ったとき、進藤翔平は弁当を食べている最中だった。ぎくっとした拍子に、卵焼きが箸の先からぽろっと落ちる。
 あわてて弁当箱でキャッチする。義母がたまに作ってくれる弁当は彩りがよく、栄養のバランスも考えられていて、とてもおいしい。落としてしまうともったいない。
 ペットボトルの麦茶をごくごくと飲んで、気持ちを落ち着かせる。このお茶も、義母が用意してくれたものだ。
「勘違いだよ」
 人間には二種類いる。
 スクールカースト上位と下位。
 陽気で明るく、コミュ力の高い人気者と、陰気で暗く、コミュ力の低いオタク。
 水沢梨乃はクラスの人気者だ。きらきらの金髪といい、ピアスといい、ミニスカートといい、どこから見てもGALなのだが、アイドル歌手みたいにかわいくて、派手な仲間たちに囲まれて笑っている。
 進藤翔平は下位グループだ。地味で風采が上がらず、オタク趣味がある。成績は悪くないが、びっくりするほどいいわけではない。運動は苦手で、文芸部の仲間と、ライトノベルやアニメ、ネット小説の話をしている。
「でもよ。水沢さん、俺たちのほうよく見てるよ。アニメ話をしているときとか、耳を澄ましているっていうか」
「ありえねぇって」
「だよな。キモって思ってるのかも」
 はぁっとため息をつく青木の向こうで、水沢梨乃は友達と笑い転げている。チャラ男の中野冬馬と特に仲がいいみたいだ。
「マジありえないしーっ」
「えっ。そうかな。梨乃って超マジメじゃん」
「だよな」
「今日はどこ行く? クラブ?」
「クラブは金曜っ。オールは休みの前の日だけ! 今日はスタバ行こうよ!」
「いいねーっ」
 スクールカースト上位グループは、自由に生きていてうらやましい。
 ふっと梨乃と視線が合った。
 梨乃は目だけで笑ってきた。
 翔平はおどおどと視線を外した。

 カースト上位と下位。
 GALとオタク。
 陽キャと陰キャ。
 違う属性は、絶対に触れ合わない。
 同じクラスにいながら、方位磁石のNとSのように遠い存在……のはずだった。


 洗面所のドアを開けた翔平は、悲鳴をあげた。
「うわぁあぁあっ!!」
 裸身にブラジャーとショーツだけの美少女が、金髪にドライヤーを当てていたら、誰だって驚く。
「しんどーくん。おっはよーっ」
 水沢梨乃、GALで陽キャ。クラスの人気者。カースト上位。
 あわててドアを閉めて謝罪する。
「ごめんなさい、すみませんっ。許してくださいっ」
「あははっ。しんどーくん。なにそのごめん三段活用。超たのしーっ」
 洗面所のドアを開けて梨乃が出てきた。
 ブラとショーツのままだ。
 鎖骨のヘコミに、お湯の雫が光っている。
 胸はふっくらと盛り上がり、水色のチェック模様のブラジャーのカップを押し上げている。スレンダーなのに巨乳なんて反則だ。
 きゅっとくびれたウエストからお尻のラインは、見事な曲線を描いていた。ブラと同じ柄のショーツから、すらっと長い下肢が伸びて、裸足のつま先がフローリングの床を踏みしめている。
 肌も露わな格好なのに、エロくなかった。夏の海で見る水着のようで、セクシーで健康的だ。梨乃が堂々としているせいかもしれない。
「梨乃さん。その格好っ」
「へーきへーき、見せブラに見せパンだからっ。朝シャワー、鬼最高っ!! しんどーくん……おにーさまもする?」
 梨乃はにかっと笑った。
 翔平の父と梨乃の母が再婚した。ほんの十日ほど前のことだ。一年ほど前にネットで知り合い、交際を続けていたという。母は美容師で、結婚式場に勤めている。スッと背筋の伸びた綺麗な女性で、硬くて地味な信用金庫職員の父にはもったいないほどだ。
 美人の母と妹ができて喜んだのも束の間、GALとの同居は大変だと実感した。梨乃は下着で歩き回るし、見られても平然としていて、怒ったりしない。明るくてサバサバしている。
 妹というのは、もっとこう、恥ずかしがったり、拗ねたり、甘えたりする生き物だと思うのだが、GALはやっぱり違う。
 だが、クラスの人気者がフレンドリーに応対してくれるのは単純にうれしい。
「髪巻いてみたんだ。梨乃ね。ストレートだから、くるくるヘアも新鮮でステキだと思うんだ。ど?」
 梨乃は両手の甲を首の後ろに差しこんで、髪をふわさっと広げて見せた。ウェーブのかかった金髪がきらきらと光を振りまきながら落ちていく。
 甘酸っぱい匂いが漂った。
 シャンプーとリンスと、梨乃自身の体臭が混じった爽やかな香り。同じ石鹸を使っているのに、どうしてこんなにいい匂いになるのだろう。
「うっ」
 脇の下のヘコミがやけにエロく見えて、股間にキた。翔平はその場にしゃがみこんだ。
「どーしたのよっ。しんどーくん。気分悪いの? 顔、鬼赤いよ」
 梨乃が前屈みになって翔平の顔を覗きこんだ。
 ひんやりぷるぷるした手が翔平の額に乗る。
 目の前に谷間が来た。
 胸は豊かに盛り上がり、ブラジャーのカップからあふれそうだ。ふくらみは真っ白で、青い血管を透かせてぷるぷるしている。
「んーっ。手じゃわかんない。熱なさそうに思えるけどな。体温計ってどこに置いたっけ。あー、まだ段ボールの中だーっ。いいや、めんどーだし」
 梨乃の手が自分の前髪を押し上げなら頭頂部へと移動する。顔が近づいてきて、額がぴとっとくっついた。
(うわ。すっげぇまつげが長い)
 義妹は、んーっと、眉根を寄せて考えこむ仕草をした。
「熱ないよ。おにーさまっ! 平熱だよーっ」
(静まれ。俺の右手! ……じゃなくて分身!)
「朝ご飯、できてます……」
「わっ。うれしーっ。鬼うれしーっ。しんどーくんの作るご飯、おいしいんだよねーっ。お茶碗は梨乃が洗うからねーっ」
 おでこが離れ、梨乃は踊るような足取りで自分の部屋へ入っていった。
 両親は共稼ぎで、今日は二人とも出張だ。
 そういう日は、翔平が料理をして、梨乃が食器を洗う。トーストと目玉焼きの簡単メニューでも、梨乃はおいしいおいしいと食べてくれる。
 クラスの人気者は、顔だけではなく、性格までいいのであった。

『妹がスキンシップをねだるんだが、実妹ってのはやばくないか』シンタロウ作
 第5話 ブラに虫が入ったの

「お兄ちゃん。大好きっ」
 妹が背中に抱きついてきた。
「ぐえっ」
 俺は大げさに悲鳴をあげた。
 甘酸っぱい汗の匂いと、ふんわり香る体臭。
 背中に押し当てられるふわふわの胸の感触。
 肩に小さな顎が乗って、頬が密着する。
「美羽な。いいかげん、子供みたいに甘えるのはやめろよ」
 俺は妹の腕をそっと外した。
 美羽はこのところ、胸もふくらんできて、身体付きも女性らしくなってきた。
 同じ遺伝子のはずなのに、妹と俺はあんまり似ていない。なんというか、俺は地味男なのに対し、妹はアイドル歌手並みの、清楚な美少女なのである。
 美羽はムスッとした顔をした。
「どうしてわかってくれないの?」
「んっ?」
 俺は全力でとぼけた。
 美羽は制服のネクタイをしゅるんと外すと、襟をぐいっと開いた。
 うわっ。やばいっ。平常心だ。平常心。水着だと思えばいい。
「ブラに虫が入ったの。取ってほしいの」
「入ってないぞ」
「ここのところだよ」
 カップを指で引っかけて浮かす。まあるいふくらみの奥で、ピンクの乳輪がわずかに見えた。
「おまえな、そういうのやめろよ。子供じゃないんだからよ」
「私ね、達也お兄ちゃんが好きなの!」
「ああうん。俺もだぞ」
 妹の頬がぷくっとふくらんだ。
「ふんだっ! お兄ちゃんなんて嫌いだからっ!!」
 妹は襟をかき合わせると、足音も荒くリビングを出ていった。
第一章
 翔平は、下校のチャイムに追い立てるようにして家に帰った。カースト下位は、なにかと用事を押しつけられる。文芸部のあと美化委員の会合に行き、中庭の掃除をしていたら、あっというまに下校時間になってしまった。
 ローファーの革靴が三和土に脱ぎ捨ててあった。
 義妹が先に帰っているなんて珍しいが、もう七時近いのだから当然かもしれない。
 リビングから音がしている。ザシュッと効果音が鳴り、声優の悲鳴が重なる。
 翔平が録画しているアニメが視聴済みになっていることがよくあるが、義妹が観ていたのか。
「ただいま。梨乃さん。僕、まだ観てないんだ。観るのはいいけど、消さないで」
 リビングのドアを開けて言ったが、梨乃は翔平を見ようともしない。クッションを抱いてテレビの前に座りこみ、前のめりになってテレビを凝視している。真剣そのものの表情だ。翔平の声すら聞こえないほど集中している。
「鬼ヤバッ! どうして魔封士の技が破れるのっ! 魔封の剣はどうなったのよっ。エイイチ。そこだよっ。マジがんばれっ」
 ぶつぶつと呟いている。祈るように両手を組んで。
「まっ? やった! エイイチす゛ごい゛っ!! えーんっ、やった、やったぁっ!!」
 梨乃は泣きじゃくっていた。
 エンドロールが流れていく。
 翔平と視線が合った。
 梨乃はティッシュでずびびっとハナをかんだ。鼻が真っ赤になっている。あどけなくてかわいい。
「梨乃さん、『魔封の剣』が好きなの?」
「うん。超好きっ」
「『魔封の剣』っておもしろいよな。主人公のエイイチがそんなに強くないのが新鮮だよな」
「そう、そうなんだ。情けないところもあるけど、そこがいいんだよ。王道だよね。よきよきっ」
 梨乃のTシャツには、封の字が染め抜いてある。寸のてんの部分が剣になっている意匠は、アニメのオープニングタイトルと同じもの。
「梨乃さんって、腐女子?」
「はっ? 違うしっ!」
 チャイムが鳴った。
「宅配便だ。僕が出るよ」
 ハンコを押して、段ボールを受け取る。
 宛名は梨乃あてだ。
「ライオンの穴から梨乃さんあて」
「きゃあっ! 来たっ。やった! 鬼うれしーっ」
 梨乃は両手のひらを顔の前に構えて翔平のほうを向いた。
 ホールドアップ? GALがなぜ? 
 違う。ハイタッチだ。
 パンと手を打ち合わせる。
「イエイッ!!」
 踊るようにして段ボールを受け取った梨乃は、床に座りこみ、ガムテープをぺりぺりと剥がした。
 薄い本が現れた。
『魔封の剣』の同人誌だ。エイイチが悪役の紅蓮姐さんを組み敷いている表紙だった。
 なるほど腐女子ではなさそうだ。ノーマルカプ。それも18禁。セックスシーンがえんえん続く同人誌を、目をキラキラさせて読んでいる。
「……鬼ヤバ! しゅきっ 紅蓮姐さん、セクシー 神!」
 薄い本を抱きしめてじーんとしている。
 GALなのにオタク。しかもエロ。あまりのギャップにクラクラする。
 遠い世界の住人だと思っていた梨乃と、いきなり距離が近づいた気分でうれしい。
「梨乃さんは、なんでアニメ好きを隠してたの?」
「隠してない。みんな興味なくて、話が弾まないから、言わないだけ」
 確かにそうだ。梨乃は、よくアニメTシャツを着ている。コスメポーチもペンケースもアニメグッズだ。
 学生カバンには、エイイチの二等身キャラグッズがぶら下がっている。
「でも、アニメ話、したいなって思うときがあって、『魔封の剣』の話が出てると、つい聞いてしまって鬼ヤバなの」
 ――水沢さんが、仲間になりたそうにこちらを見ている。
 青木がそう言ったとき、『兄妹なんて絶対言うな』と圧をかけているのだと思ったが、アニメ話に聞き耳を立てていたのか。
「しんどーくんも好き?」
 どきっとした。
『魔封の剣』が好きなのかと聞かれているのだとわかっていても、しんどーくんが好きだと言われたように思えてしまう。
「うん。でも、アニメ好きなんて暗いって言われるだろうなって思ってた」
「はっ。意味わかんないしっ。アニメが好きだと暗いのっ!? ありえないしーっ。しんどーくん。これ、貸してあげるっ! ドチャクソえろいよっ。読み終えたらドアの下から部屋に入れてくれたらいいからっ」
 さばさばした口調で言われて、顔がにまにまほころんだ。押しつけられた薄い本を、机の上に置く。
「あ、じゃあ、僕のも貸そうか?」
 ベッドの下からエロコミックを出すと、梨乃が目を輝かせた。
「借りりゅっ」
 大事そうに両手で抱えて自分の部屋に持っていく。
 信じられない。義妹とエロコミックの貸し借りをしている。エロ漫画を読んでいるというだけでひかれると思っていた。
 梨乃がエロ漫画を読んでいる様子を想像するとドキドキした。
「『魔封の剣』のWEB連載、もう更新されてるの、知ってる?」
「まっ? 明日だよねっ」
「まっ」というのは、マジ? の略だろう。
「出版社のサイトだと一日早く公開されるんだ。深夜零時アップみたいだ。読む?」
「読みたい」
 アプリを立ち上げて、スマホごと梨乃に渡す。
 梨乃は、クッションを抱きしめたままその場にうつ伏せになると、両手でスマホを持ち、真剣な表情で読みはじめた。くすくすと笑いだしたり、むすっとしたり、百面相している。
 ホットパンツのお尻が形よく盛り上がり、足がすらっと長い。
 美少女は、骨格から違うんだなと思ってしまう。
「紅蓮姐さん、カッコイイ……マジ神!」
 読み終わったあとも、梨乃はスマホを操作していた。
「それ、僕のだから、返してほしいんだけど」
「ちぇ、更新なしか……」
 梨乃が見ているサイトを見て、顔から火が出そうになった。
 WEB小説投稿サイト。
 しかも18禁。

『妹がスキンシップをねだるんだが、実妹ってのはやばくないか』シンタロウ作

「それはダメだっ」
「ダメじゃないよっ! マジ神なんだからっ!! 妹が達也お兄ちゃんを好きになって、背中に抱きついたり、ノーブラで胸を寄せたりして一生懸命誘惑するんだけど、お兄ちゃんは鈍感なフリをするの。美羽ちゃんがけなげでめっかわなのー」
 めっかわというのは、めちゃくちゃかわいいという意味だろう。
「ありがとう」
「はっ。意味わかんないしっ」
「それ書いてるの、僕なんだ」
 言ってしまって後悔した。
 顔から火が出そうになった。
 嫌われる。引かれる。キモいと言われる。小説を書いているというだけでも変人扱いされるのに。
 まして18禁なんて。
 だが、梨乃の反応は、意外すぎるものだった。
「ええええええっ! マジッ!? はぁあぁっ 信じられないんですけどっ! ヤバイんですけどっ しんどーくんってヤバイ。男なのに、女の気持ち、すごくわかってるんだね 梨乃ね、マジ驚いているんですけどーっ」
 スマホを持って立ち上がると、ぴょんぴょんと飛び跳ねた。
 気後れするほど綺麗で、クラスの人気者なのに、無邪気に喜んでいる梨乃はかわいかった。
「しんどーくん、こんなにおもしろい小説書けるなんて、すごいね!」
 素直な賞賛の視線で見つめられてドキドキする。
「すごくないよ」
 一瞬だがランキング入りを果たした。
 ネット小説には何度も投稿しているのだが、日間十九位ははじめてだった。
 手応えも感じた。
 だが、翔平は更新をやめた。やめたというより、できなかったのだ。
 こんな風であればいいなという妄想で書いたが、やがて行き詰まった。なんというか、むなしくなってしまったのである。
「こっちも僕が書いているんだ。こっちを読んでほしいな」
 梨乃からスマホを受け取り、全年齢のライトノベルを表示する。18禁の投稿は文芸部の仲間たちにも秘密だが、全年齢はみんなに知らせている。もちろんペンネームは別だ。
 仲間たちはポイントを入れてくれるのだが、ランキングはふるわない。更新も間遠になっている。
「わぁい。読みたいっ」
 梨乃の長いまつげが伏せられて、黒目がちの大きな瞳が文字を追う。
「……ふうん。ありがと」
 スマホを返されて面食らう。
(なんで塩対応なんだ? さっきはあんなに熱く語ってくれたのに)
「おもしろくなかった?」
「成り上がり、ざまあ、異世界、料理、没落貴族、暗殺者。モリモリの盛りすぎ。売れ線盛ればそれでいいだろ的な。アンリエッタ変! なんで主人公を好きになるの? ありえないじゃん。サイコだよ。なに考えているのか、わかんないっ。なしよりのなし!」
 なし寄りのなし。九十九パーセントありえないという意味だ。
 ズバッと言われてドキッとする。
 当たってる。その通りだ。受け狙いで、キャッチーなものをたくさん入れたら、ストーリーが破綻した。
 それでも続けたら、今度はキャラが崩壊した。ライトノベルは好きなのに、どうして上手く書けないんだろう。
「『妹スキンシップ』のほうがいい。受け線じゃないけど、美羽がかわいい 梨乃もねー。同じコトするよ」
(私も同じことする……って……)
 想像したら、顔がかぁっと赤くなった。
『妹スキンシップ』は無邪気でかわいくて恥ずかしがり屋の妹が、お兄ちゃんが好きだと言って不器用に誘惑する話だ。
 梨乃があまりにもGALGALしくて、理想の妹と違っていたから、こんな風な妹がいたらいいな、と思いながら書いた小説で、妄想乙だと言われそうな出来映えなのに……。
 梨乃は、大きな目を見開くと、お腹の前でクロスした手で、封魔の剣Tシャツをめくり上げた。
 縦長のおへそを刻んだ平らなお腹が露わになる。
「わーっ。やめてくれっ、梨乃さんっ!」
「へーきへーき、見せブラだし おけまるっ! ぬぎぬぎタッチよきよき おでこもおっぱいも同じだよ」
 美羽が兄を誘惑し、カットソーを脱いで胸に手を当てさせるシーンを再現するというのだ。思わぬなりゆきに息を呑む。
 梨乃の下着姿は何度か見たが、目の前で脱がれるとドキドキする。
「胸と額が一緒だったら、恥ずかしくて外を歩けないよ」
「ぷっ。あははっ。鬼ヤバ。想像したっ。ドチャクソたのしー」
 胸までTシャツをめくり上げた梨乃は、自分の胸を見て瞳をヨリ目にさせると、顔を真っ赤にさせ、裾を押さえた。
「きゃーっ。きゃあああぁっ、きゃーっ」
 胸を両手で抱いてしゃがみこんだ。手を小刻みに動かして、Tシャツの裾を直している。
「ないわーっ、見せブラ違うしっ! 下着だしっ!」
 見せていいブラと、見せてはいけない下着があるらしい。
「梨乃さんも恥ずかしがるんだ……」
「はっ! ありえないしっ!! 無礼なんですけどーっ!」
 梨乃が立ち上がると、腕組みをして睨んできた。さすがGAL。怒ると迫力がある。
 彼女は翔平よりも背が低いのに、見下ろされている気分になる。
「ごめんなさいっ。すみませんっ。許してくださいっ」
「あははっ。しんどーくんのごめん三段活用出た! ブラ違いしたの梨乃だから平気だよー。『妹スキンシップ』の続き、楽しみにしてるねー」


 ネット小説をアップした翔平は、ふーっとため息をついた。とうに深夜もすぎて、家は静まり返っている。
 ネット小説は、正午か午後六時から八時のゴールデンタイムにアップするべき、という掟がある。夜中にアップしても読者がいないため、読んでもらえないからだ。ランキングはページビューに基づくので、みなは読者が多い時間を狙う。
 だが、書いていて楽しくて、勢いでアップしてしまった。
 梨乃は経験者だろう。だからぬぎぬぎタッチなんてできるのだ。梨乃は魅力的だ。モテないはずはない。相手はチャラ男の中野冬馬だろうか。現実なんてこんなものだ。小説ぐらい明るく楽しい夢を紡ごう。妄想乙でいい。
 割りきると、筆が進んだ。
 風呂に入ってから寝ようとして廊下を歩いていると、トイレのドアがいきなり開いた。
「ぐえっ」
 ドアで身体を叩かれて、ドアノブが腹にぐりっとめりこんだ。衝撃に足がもつれた。その場にべたっと尻餅をつく。
「きゃっ。ごめん。おにーさまっ。大丈夫?」
 梨乃だった。細かい剣模様の魔封パジャマですっぴん。びっくりした顔をしている。
 心配そうに手を伸ばしてきた梨乃の足がドアの段差にひっかかり、立ち上がろうとした翔平の身体に覆いかぶさってきた。
「うわっ!」
 トイレの前の廊下で、梨乃に押し倒された感じになる。
「梨乃さん、重いっ」
「鬼失礼っ!」
「わぁっごめ」
「しっ」
「どうしたの? なにを騒いでいるの?」
 義母の声がした。
「ヤバッ!」
 梨乃の小さな手が翔平の手を引く。
 二人はもつれ合うようにしてトイレに入った。
 背中から転びそうになった梨乃を抱きしめる。便器の給水器に頭をぶつける寸前で助けることができた。梨乃もきゅっと抱擁してきた。
 どちらの心臓の音なのだろう。ドッドッドと刻むリズムが、緊迫感をけしかける。胸が当たっている。パジャマ越しに感じる温かくて柔らかい身体の感触。甘酸っぱい体臭がたまらない。
「梨乃ちゃんなの? どうかした」
「おかーさんっ。ごめんね。ゴッキーがビューッて。鬼ヤバだったのーっ!」
「そう、明日、ゴキブリ捕り買ってくるね。早く寝なさいね」
「おやすみなさい。おかーさん」
 義母の気配が遠ざかっていく。
 カラーコンタクトレンズをつけていない茶色い瞳が、翔平をじっと見つめている。化粧をしていない梨乃は、頬がつるんとして、やたらとかわいい。
 ぷるぷるとした唇は透明感のあるピンク色で、サクランボみたいだった。まるで翔平を誘っているように半開きになっている。翔平は唇を重ねた。
「ンッ!」
 抱擁をほどこうとした梨乃をしっかりと抱き寄せ、さらに唇を重ねる。
 身体の中で熱い衝動が荒れ狂う。
(いいのか? こんなことして)
(いいんだ。どうせ梨乃さんは処女じゃない)
(誘ったのは、梨乃さんだ)
 梨乃が抗おうとするかのように手を動かした。翔平は彼女の手首を掴んだ。力なら翔平のほうが強い。
 さらに唇を重ねていると、歯をがちがちに組み合わせていた梨乃の唇がふっと緩んだ。
 翔平は、舌をにゅるっと差し入れた。縮こまっている梨乃の唇を絡み取る。
「んっ、ちゅっ、れろっ……ちゅっ」
 唇はひんやりしているのに、舌は熱くぬるぬるして、舌先はつぶつぶしている。
 ちゅっと吸うと、梨乃の身体がヒクッとなる。
「はぁはぁ……ちゅっ、ちゅぱっ……ちゅちゅっ、れろれろっ」
 ファーストキス。ディープキス。とろけそうなほどに甘くて熱い。
 頭の芯がぼうっとなるほど刺激的だ。
「ちゅっ、……んんっ、はっ、はぁはぁっ……ちゅっ、れろっ、ちゅぱっ」
 クラスの人気者。陽キャでGAL。スクールカースト上位グループ。
 その梨乃を、トイレで抱きしめ、ムリヤリにキスしている。
 いけない興奮がわき起こる。
 右手で背中を抱き、左手でお尻を揉む。
「ごくっ」
 翔平が送りこんだ唾液を、梨乃が嚥下した。
 かぁっとなった。
 梨乃に、自分の体液を注ぎこみたい。唾液ではなく。
 翔平は義妹のパジャマのズボンに手を入れた。お尻の丸みに沿って手を下ろしていく。
 梨乃が首をくなくなと振り、キスから逃れた。
「あっ、あぁっ……! ……ぁあっ、だめっ、だめぇっ! いやだぁっ」
 翔平は梨乃の乳房をパジャマ越しにぎゅうと握った。
「黙って。じっとして」
「ひくっ」
 梨乃が怯えている。泣きそうな顔をしている。カースト上位でGALなのに。クラスの人気者なのに。
 義妹の膝が崩れた。便器のフタにお尻が乗る。魔封パジャマの襟ボタンを外していく。
「だめ、見せブラ、じゃ、ない、から……」
 梨乃が力なく抵抗するが、翔平はかまわず襟を開いた。
 ノーブラだった。
(でっかいっ)
 こぶりのスイカほどもありそうなスイカップサイズ。服を着ているときより豊満に見える。下から持ち上げるようにして揉むと、複雑に形を変える。
 大きいのにぷりぷりと弾力があり、指を弾き返してくる。温かくて柔らかい。
 肌はキメ細かく、手のひらにしっとりと張りつく。すべすべでぬくぬくで、果汁グミのようだった。
「いやっ、だ、だめっ! やだっ、やだあぁっ!! 鬼怖い、ヤバいよ……しんどーくん……」
 だが、抵抗する声はかすれて小さい。
 自信のカタマリに見えた梨乃の弱々しい様子に、獣性が刺激される。
「見せブラなんて言って、誘ってきたくせに」
「ちが、違う! そんなつもりじゃ……」
 乳房をぷるぷると揉んでいると、ふっくらぷりぷりの胸乳の頂きで、ピンク色の小さな乳首がククッと頭をもたげた。
(勃起した!)
 まるで小さなチ×ポみたいだ。
(梨乃さんは興奮している。だからいいんだ。こうしても)
 無我夢中で乳首に吸いつく。
「んっ、あぁっ……はっ、はぁ……あぁっ……だめ、だめだよ……しんどーくん……鬼ヤバイよぉっ……」
 乳首はちゅっと吸うとさらに大きさと硬さを増し、小指の先みたいになった。
 味も小指を舐めているのと同じで、わずかにしょっぱい汗の味しかしない。なのに、翔平は夢中になっておっぱいを吸い、胸をいじった。
「えぐっ、えぐえぐっ……ぐすん……っ」
 梨乃が泣きだした。
 泣き声が翔平をけしかける。
 義妹のパジャマのズボンをずるっと引き下げる。
「いやっ、いやぁっ! やだぁっ!!」
 トイレの便器のフタはすべすべで、彼女が座っていてもなお、ズボンを下ろすことができた。
 苺柄のショーツに包まれた股間が現れた。
 ショーツに隠されているにも関わらず、ぴったりと張りついたコットンを透かして、ヘアの陰りと、ぷくっとした大陰唇、それにスリットの形状が見える。
「いやっ」
 梨乃がきゅっと唇を噛み、怒った表情を浮かべて立ち上がった。逃げようとするが、翔平はドアを背にして立っているため、彼女の行く手を塞ぐように身体を動かすと、もう逃げられない。足首でまつわっているズボンが邪魔そうだ。
 転びそうになって、よろめく。
 翔平はショーツの前に指を当て、ずるっと下げた。
「きゃーっ。やだぁっ、見ちゃだめぇっ!!」
 見えた。恥丘に生えたアワアワしたヘアに、小さなクリトリス。ぷくぷくした大陰唇の中央には秘裂を通している。
 翔平の身体の奥で、熱い衝動がぐらぐらと煮え滾る。
「はじめてなのよぉっ!!」 
 梨乃は両手で顔を覆って震えだした。
(はじめて? GALなのに? チャラ男の中野冬馬は?)
 股間に当てようとした手を止める。
「こんなのは嫌っ! 絶対嫌っ!! 嫌いになっちゃうからねっ!!」
「うっ」
 ドブッ。ドブドブッ!
 トランクスの中で漏らしてしまった。
 頭から冷水を浴びたみたいに、興奮が一気に冷めていく。
 精液が内腿を伝い落ちていく。
 生温かい感触が気持ち悪かった。
(僕はなんてことをやってしまったんだ……)
 自分のしたことが信じられない。
 レイプまがいのことをした。嫌われる。もう二度と、口も利いてもらえない。情けなくて怖くて苦しくていたたまれない。
「ごめんっ」
 翔平はトイレから逃げだした。

『妹がスキンシップをねだるんだが、実妹ってのはやばくないか』シンタロウ作
 第8話 お兄ちゃんと…… 

「いやっ。いやだぉっ! お兄ちゃん。怖いよぉっ!!」
 美羽が泣くと、俺の胸に凶暴な気持ちが荒れ狂った。
 もうやめろ、実妹じゃないか。妹を傷つける気か。
 冷静な自分がストップをかけているのに、暴走が止まらない。
 俺は美羽が誘惑するたび、いらだっていたんだ。
 自分が魅力的であることを知らない無邪気な美羽に。
 鈍感なフリをしている、勇気のない自分に。
「やめて……やめて……お兄ちゃん、そんな、嘘でしょ……」
 手首を縛られて、ベッドの棒にくくりつけられ、仰向けになっている美羽は、怖そうに身体をすくませている。
 俺は、パジャマの襟に手をかけると、バッと開いた。
 ボタンが弾け飛んだ。
 ブラジャーに包まれた、ほどよい大きさの乳房が見えた。
「美羽が誘ったんだろ?」
「違う……。こんな風にしたかったんじゃないっ! お兄ちゃんが好きだから……好きなんだよぉっ。お兄ちゃんっ、えぐぅっ。ええんっ、ひぃっく」
 妹に泣かれても、俺は止まらなかった。
 パジャマのズボンを下ろすと、子供っぽいほど清楚なショーツに包まれた股間が現れた。
 お尻も太腿も適度に肉が乗り、大人の身体になっているのに、下着だけは子供のまま。そのギャップが危うい魅力になっている。
「いやっ、恥ずかしい……いやだぁ……っ」
 俺は、美羽のショーツを引き下ろした。

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