【2018年8月17日】

我が家のリリアナさんと冬休み!出だし公開

第一章
「ふぁぁ……これがコタツというものなんですね。はふぅ……体の芯からじわじわと暖まって、なんて蠱惑的な……ずっとこのままでいたくなってしまいます」
「リリアナさん、すごい気持ちよさそうな顔で寛いでるね」
街中の並木はすっかり葉を落としており、吹きつける冷たい風に行き交う人々の吐息は白く染まって、雪でも降りそうな気配さえ漂っていた。
暖冬を恋しく思ってしまうようなそんな冬のある日、褐色の肌を上気させてうっとりとコタツに身を預けるリリアナの姿があった。
「す、みませんっ! お見苦しい姿を……っ」
自身の醜態に気づいた彼女の動作は、まさに電光石火。目尻が下がりきっていたのが嘘のように、一瞬にしてシャキッと背筋を伸ばして姿勢を整えた。
しかし、その頬はわずかに赤かった。
「気にしないでよ。実際、これは危険なものだからね」
最初から咎めるつもりなどない達也は、苦笑しながら返した。
「姉さんから話は聞いていたのですが、これが人々を魅了して止まないというコタツの魔力なのですね……」
「コタツ寝が至上の喜びなのは万国共通だよ。なかには〝ダメ人間製造機〟なんて呼ぶ人もいるくらいだしねぇ」
「ふふっ、そうですね」
そう言う達也も、肩まで布団をかぶって見事にコタツムリと化していて、だらけている様は彼女の比ではない。
「うん。まさに至福」
「気持ちはわかりますけど、入りすぎはダメですよ。コタツで暖まっているうちに体が乾燥してウイルスの侵入を防ぎにくくしてしまいますし、寝汗でかえって体を冷やしてしまって、風邪の原因になることもあるそうですから」
コタツの影響で頬を緩ませながらも、達也への気遣いは健在だった。
「それは、わかってるんだけどねぇ……」
健康上よろしくないと頭では理解していても、冬の冷たい外気に晒された体を心から温めてくれる人知の結晶の誘惑には抗い難いものがある。
また、もしも本当に体調を崩してしまったとしても、彼女なら献身的に看病してくれるだろうと「それもありかも……」などという考えが過ぎってしまう。
「せめて肩まで潜るのはやめてくださいね」
コタツから抜けたくないと思ってしまうが、彼女が本気で心配してくれているのがわかっているため、ゆっくりと布団をズラしていく。
「おふぅ……」
室内であるためそれほど寒くないはずなのだが、温かすぎるコタツの中との寒暖差に、思わず身震いしてしまう。
これが体調を崩す原因だと理解しているが、あの魔性の如き心地が忘れられない。
早くも、どっぷりと再び潜りこみたい衝動に駆られていた。
「達也さん?」
笑顔で呟くリリアナだが、すべてを見透かされているようなプレッシャーを感じた。
「えっ、あ、いや……やっぱり肩までかぶりたいなぁなんて思ってないからね?」
「何事もほどほどに……ですよ。それで万が一体調を崩してしまったら、治るまでコタツは禁止ですから」
ベッドも温いが、コタツには及ばない。
また、彼女が本気で心配してくれているのがわかっているため、達也に反論の余地などなかった。
「うぅ……でも温度差に慣れるまで少し肌寒いなぁ。た、例えばだけど、リリアナさんに暖めてもらいたいなぁ~……なんて」
期待半分、冗談半分で呟く達也。
軽い説教紛いの真似をさせてしまった空気を変えるため、ついでにリリアナが驚いて恥じらう様子が見たくて、おどけた調子で呟いてみたのだが――
「わ、わかりました。達也さんが望むのなら……」
「――えっ?」
あっさりと受け入れられてしまい、達也の方が驚いてしまった。
まだ外も明るいことから、断られる可能性のほうが高いと考えていたのだが、恥じらいながらもしっかりと首を縦に振ってくれた。
「それでは……失礼しますね」
「り、リリアナさん?」
顔を赤らめてはいるが、彼女は迷いのない動作でコタツから出ると、達也の横に移動して入り直す。
狭いコタツに二人も並べば、当然密着する。
さらに彼女も達也と同じように横になり、モゾモゾと体勢を調整すると、顔の位置を同じにして正面から抱きしめられた。
「どう、ですか……暖かいですか、達也さん?」
「う、うん……」
女性特有の甘い香りが鼻を擽り、そして体温がじんわりと伝わってくる。
達也自らが望んだとはいえ、いざこの状況になると心臓の音が耳に届くほど激しく高鳴ってしまう。
さらに彼女は両腕でしっかりと抱いているため、たわわなバストが胸板に押しつけられていて、魅惑の弾力によって血流が下腹部へと一目散に駆け抜けていく。
「コタツも暖かいですけど、達也さんも温かいです」
もはや何度となく肌を重ねてきた関係だが、どれだけ経験を重ねても慣れることはなく、彼女の温もりに加えて囁く吐息がかかると、どんどん男としてのっぴきならない事態へ突入していく。
「り、リリアナさんだって……だけどスカート、皺にならない?」
気の利いた台詞の一つでも言えればいいのだが、こうも彼女が近いと興奮を抑えるのに精いっぱいで、適当に過ぎったことを口走ってしまう。
「大丈夫ですよ。今日はもう外へ出る用事もありませんから、多少よれてしまったとしても」
「うっ……」
そう言うと、脚を絡めてきた。
中で擦れて捲れているらしく、スベスベとした太腿の感触が伝わってきて、思わず身震いしてしまう。
もはやコタツの温もりなど頭から弾け飛んでおり、彼女の体温と柔らかさに全力で意識を向けていた。
「たまにはこうしてゆっくりするのもいいですね」
「そ、そう……だね。でも冬休みって長いようで短いから気をつけないと」
「そうなんですか?」
「うん。夏休みに約束したでしょ? クリスマスや大掃除とか、他にも色々と出かけたいから……勿論、リリアナさんだけに負担をかけないように、家事は手伝うよ」
「それは私が好きでしていることでから、気にしなくても……」
「ありがとう。でも、そうすればもっとリリアナさんと一緒の時間が増えるし」
「そういうことなら……それにこちらのご奉仕も私の役目ですし」
するとリリアナは目を細めて微笑むと、視線を股間へ向けた。
「うぇ、き、気づいてたの?」
「当然ですよ。さっきから心臓、すごい勢いでドキドキしていますし……それに、達也さんの体が火照ってきて匂いもだんだんと濃くなって……」
「に、匂い……?」
言われて嗅いでみるものの、確かにうっすらと汗の臭いが漂ってはいるものの、それが彼女の言っているものと同じなのかは判断できなかった。
「ふふっ……いいですよ。どうぞ達也さんの望むままにしてください」
そう言うと、彼女の抱擁がさらに強くなった。
「リリアナ、さん……」
柔らかさが増して甘い匂いが鼻腔から脳内へと浸透していき、達也の内に潜む獣性が咆哮を上げようとしていた。
「あ、ですがその前に……」
ところが、気分が昂ぶりきるすんでのところで、リリアナは急になにかを思い出すと、抱擁を解いてコタツの上に放置されていたものを手に取った。
「……ミカン?」
彼女の手には、コタツの必需品であるミカンが握られていた。
それも、先ほどまで彼女が食べていたものだった。
綺麗に皮が剥かれ、食べやすいように丁寧に筋まで取り除いてあるあたり、彼女の几帳面な性格を表していた。
「達也さんはずっとコタツに潜って寝ていましたからね。念のための水分補給です。はい、あ~んしてください」
逐一気にかけてくれるあたりは、本当に頭が下がる思いだった。
まさかの〝あ~ん〟には驚いたが、横のまま湯飲みでお茶を飲むのはなかなかに難易度が高く、だからといって彼女と密着をしている至福の時を放棄して体を起こすなど選択肢の候補にも挙がらなかったため、多少気恥ずかしさはあったものの、達也は素直に甘えることにした。
恥じらいながら口を開いて果肉を迎える。
「……ぁ、あーん。むっ、モグモグ……んっ、美味しいね」
「よかったです。でも私から勧めてしまいましたけど、寝ながら食べるのは行儀が悪かったかですね。申し訳ありません」
「謝る必要ないって……というか、せっかくリリアナさんとこうしてるんだから、そんなのは気にならないよ」
そもそも行儀云々以前に、彼女の感触に浸ることに精いっぱいで、本来なら甘くて瑞々しいはずの果実の味など完全にぼやけていた。
「そう、なのですか?」
「そうなのです。だから、もう一つ……いい?」
味など二の次三の次で、もっと彼女を感じたいを気持ちが逸ってしまう。
「では、あーん……ふふっ、なんだか雛に餌を運ぶ親鳥の気分です。達也さんが可愛く見えます」
「か、可愛いって……っ」
彼女が笑ってくれるのは達也としても嬉しい限りで思わず赤面してしまうが、年頃の男子としては複雑なものがある。
少しくらいは男らしい面を強調したいところなのだが――
「達也さん……んっ」
「――んぅ!?」
思考を巡らせている最中に彼女はみかんを一房口にし、それを達也の口へと運んだ。
いきなりのことで目を丸くしたものの、甘い香りと感触に?まれ、夢でも見ているかのように呆けてしまった。
「ふふ……美味しいですね、みかん」
「う、うん……」
素直に頷いてしまう達也。
いきなりのことで目を丸くしていると、彼女ははにかみながら再度口を開けるよう促される。
可愛いだけの男ではないと訴えたいはずが、もう一度あの感触を味わえると思うと、言葉よりも先に口を開いてしまう。
リリアナはわずかに目を細めると、軽く噛んで果肉を潰して口内へ押し込んできた。
そして達也の喉から飲み下す音が聞こえてから唇を離す。
それからも同じやり取りが繰り返されたが、元々食べかけだったこともあり、なくなるのはあっという間だった。
「……なくなっちゃったね」
突然の展開に驚いていたはずが、達也は当初の目的を忘れて夢中になっていた。
「はい、でも……こちらのほうは……これから、みたいですね」
「食べさせてください」と囁きながら、背中に回っていた彼女の手が達也の股間に触れた。

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